東電、円安影響により4-6月期294億円の赤字

2013年08月03日 14:05

 31日、東京電力<9501>は2013年4-6月期連結決算を発表、経常損益が294億円の赤字だったことが分かった。東京電力は、去年に行った電力値上げにより増収効果を上げてはいたが、円安などの影響による燃料費の増加をカバーし切れず、第1・四半期では3年連続の赤字となった。

 企業としての存亡にも関わる、「3年間連続の年間経常赤字」という事態をどうしても避けたいと考える東京電力だが、しかしそのために必要な柏崎刈羽原発(新潟県)の年内再稼働は、現状ではかなり厳しいと言えるだろう。会見を行った東京電力の広瀬直己社長は、黒字にするためのさらなる電力値上げは、「何があっても避けたいと思っている」と述べたものの、「電力値上げ」以外の具体的な黒字転換策については、明言出来なかった。

 さらに広瀬社長は、3年連続の赤字回避について、「有効な策はなくなっている。修繕費などの繰り延べにはかなり手を付けているが、安定供給を見極めたぎりぎりのラインまで、コスト削減を行うことが必要だ」と述べた。

 広瀬社長の説明によれば、東京電力には、今年の10月に約800億円の借り換えがあり、12月には約3000億円の新規融資がある予定だ。しかし、黒字に転換するために極めて重要な柏崎刈羽再稼働のめどは未だ立っておらず、さらにはそこに追い打ちをかけるように、福島第1原発から汚染水が海に漏れた際に、その公表が遅れるなどの不手際に対し、新潟県の泉田裕彦知事は「原発を運営する責任者としてあるまじき行為。まだ再稼働を議論する状態にはない」と不信感を露わにした。

 もし3年連続で経常赤字が続けば、銀行が借り換えや新規融資に応じることは難しくなって来るだろう。秋に訪れる「資金繰りの正念場」に向けて、あくまで柏崎刈羽原発の再稼働を目指すのか、それとも、再び「電力値上げ」を行うのか? 広瀬社長は「今のところ、『再稼働』か『再値上げ』かを選ぶ段階ではない。あくまで様々な案を組み合わせて、銀行に東京電力が持続可能と理解してもらうことが大事」と語るに止まった。(編集担当:滝川幸平)