NYダウは36ドル安。広告業界で世界2位のオムニコムと3位のフランスのピュブリシスが合併し、百貨店業界でNY5番街の有名店サックスがカナダのハドソンズ・ベイに買収されるなど国境を超える大型M&Aのニュースに刺激されたが、前週末のミシガン大学消費者信頼感指数改定値も中古住宅販売件数も市場予測を下回り、中古住宅販売仮契約は0.4%低下。FOMC直前の様子見ムードにも支配され3日ぶりに反落した。30日朝方の為替レートはドル円が98円前後、ユーロ円が129円台後半で円高傾向に変わりない。
取引時間前に発表された6月の鉱工業生産は3.3%低下し市場予測より悪かったが、完全失業率は0.2ポイント低下して3.9%と4年8ヵ月ぶりの3%台で、有効求人倍率も0.02ポイント改善して0.92倍で5年10ヵ月ぶりの水準。雇用の明るさが増している。
この日も取引時間前の外資系証券注文状況はわずかだが売り越し。日経平均は26.93円安の13634.20円で始まるが、TOPIXはプラスでスタートし日経平均もすぐにプラス圏に浮上する。午前10時前後にマイナスになる時間帯もあったが、前場は13700円台で終える。後場は一段高で始まり、ドル円が97円台から98円台へ円安が進むのに合わせて日経平均も上昇。午後2時前には13900円台にもタッチするなど13800円台で推移し、終値は208.69円高の13869.82円で5日ぶりに反発した。TOPIXは+20.08の1148.53。売買高は25億株、売買代金は2兆2449億円だった。
値下がり銘柄203に対し値上がり銘柄は1508で、前日とは正反対の全面高で全33業種が上昇し中身は充実。上位は海運、電気・ガス、その他金融、非鉄金属、鉄鋼、石油・石炭などで、下位は医薬品、卸売、情報・通信、電気機器、金属製品、銀行などだった。
日経平均採用225種でマイナスは10銘柄だけ。マイナス寄与度首位は東京エレクトロン<8035>で、150円安で値下がり率13位に入り日経平均を6円引き下げていた。2位はキヤノン<7751>で65円安で年初来安値更新とちょっと深刻。3位は4~6月期決算が営業利益28%減と悪く61円安で値下がり率16位に入った日立建機<6305>だった。しかし中国関連でいつも相棒のコマツ<6301>は営業利益6%減と決算内容がまだマシだったためか29円高と上昇。日経平均プラス寄与度首位はファーストリテイリング<9983>だが、上げ幅が300円高と控えめだったので寄与度は+12円にとどまった。
メガバンクも証券も反発したが、この日、派手に上がったのがノンバンク。値上がり率ランキングでは8位にアプラスフィナンシャル<8589>、18位にオリコ<8585>、21位にアイフル<8515>が入っていた。
自動車関連は前日までの下落分を取り戻すかのように上昇し、トヨタ<7203>は170円高、富士重工<7270>は83円高。自動車部品のカルソニックカンセイ<7048>は4~6月期の営業利益2倍、純利益3倍という好決算を好感されてストップ高の78円高で値上がり率3位に入った。東京電力<9501>は売買高、売買代金ともトップで、67円高で値上がり率12位に入っていた。
三越伊勢丹HD<3099>は4~6月期の営業利益が過去最高と報じられたが株価の上下動が激しく終値は10円高。花王<4452>はカネボウ化粧品の自主回収問題で特別損失84億円を計上し1~6月期の純利益が7億円下振れする模様と伝えられたが、悪材料出尽くしなのか110円高だった。ガンホー<3765>は1~6月期の営業利益が前年同期比44倍という驚異の決算を発表したが大幅安。KLab<3656>は148円高で値上がり率9位に入っていた。ヤクルト本社<2267>は700円の大幅高で値上がり率5位。2時すぎに営業利益85%増の好決算と同時に自社株買いを発表してストップ高になった。
神戸製鋼<5406>は今期最終益550億円という前日発表の好決算を受けて三菱UFJモルガン・スタンレー証券が投資判断を引き上げ10円高。発表した日が悪かった。名古屋市に本社がある中古車販売のネクステージ<3186>が東証マザーズに新規上場。午前9時36分に公開価格1700円に対して2011円の初値がつき、終値も2011円。上場日が全面安の前日でなくて本当によかった。
この日の主役は久々に派手な動きをした海運株。業種別騰落率トップに立った。火を付けたのは商船三井<9104>の4~6月期の業績観測報道で、経常利益が黒字化して160億円前後と伝えられ15円高。売買高ランキング常連の川崎汽船<9107>は12円高。値上がり率トップに40円高のNSユナイテッド海運<9110>が入り、7位の共栄タンカー<9130>は大引け後に決算を発表したが、経常利益が24.4%増で、4~9月中間期の経常利益予想を一挙に5倍に上方修正している。長らく構造不況業種と呼ばれた海運業界にも「わが世の春」が来たのだろうか。(編集担当:寺尾淳)