菅義偉官房長官は8日の閣僚懇談会で東京電力福島第一原発事故による放射性物質による汚染に対する除染を加速化するため、中間貯蔵施設整備などの体制強化を関係閣僚に求めた。除染により大量に生じる汚染土壌の搬入先となる中間貯蔵施設の整備が進まなければ、結果的に除染がさらに進みにくくなる。関係省からの人的支援も含めて体制強化に努めるよう要請したもの。
また、菅官房長官は「原子力規制に関しても原子力規制委員会での厳格かつ適正な審査や原子力防災対策の充実を図るための体制強化を関係閣僚にお願いした」と述べた。
加えて、東電福島第一原発事故では放射性物質に汚染された地下水が1日300トン、海に流出していると推計されている。菅官房長官は「建屋海側で汚染された地下水が検出されている井戸の付近を通る地下水が1日100トンだと聞いている。現在、地盤改良で汚染水の流出を阻止しようとしている。加えて、ほかのふたつの井戸の付近を通っている地下水も100トンずつあるので、汚染されている可能性を否定することもできない状況ということだ」とし、200トンについては汚染度が比較的低いのではないかとの見方を示した。
そのうえで菅官房長官は「汚染水処理対策委員会でしっかり検討し、対策をとっていく」とした。また、汚染水流出問題の海外への説明については「汚染水処理対策委員会で処理対策の方向が出た時点で、説明していこうと思っており、説明は当然だと思っている」と述べた。
政府の原子力災害対策本部は7日に「(東電福島第一原発で)推定1日300トンの放射性物質による汚染水が海に流出している」と発表し、安倍晋三総理は「国として対策を講じる」と東電任せでは進まない状況を浮き彫りにした。「国費で行う以上、東電の合理化はさらに必要」との声もある。(編集担当:森高龍二)