東京電力福島第一原発事故対策の中で、地下水バイパスの地下水の分析を同業電力会社の関西電力が100%出資する関西電力グループ「環境総合テクノス」が行い、その社長には関電の原子力事業本部地域共生本部副本部長が出向しているという状況で「東京電力が『(環境総合テクノスを)第3者機関』としているが、第3者機関としてふさわしいと考えるか」と山本太郎参議院議員が質問主意書を提出した結果、政府は「放射性物質の分析業務において実績のある事業者で、東電との間に資本関係はない」として、資本関係がないがゆえに第3者機関として問題ないかのような答弁を行った。山本議員が公表した。
また、山本議員が「原子力規制庁の金城事故対策室長は5月14日の記者ブリーフィングにおいて『これまでは東電の子会社を第3者と称してやっていたようなところがあり、第3者性が確保されるものにするようにという指導はしていた。合致するかどうかは確認したい』旨発言しているが、政府はこの一連の情報、規制庁のその後の対応につき把握しているか」との問いには「地下水の分析を誰が行うかについて、特段の規制を行っていないが、東京電力がこれを第3者に委託して行う予定であったことについては承知していたものであり、その後、同庁において、平成25年5月14日の記者会見においてテクノスに係る質問がなされたことを受け、東京電力からテクノスは東京電力の子会社でないことについて確認している」とし、東電の資本が入っていなければ、実質的な利害関係にかかわりなく、第3者機関といえるという形式論的な認識を示していた。
第3者機関がこの程度の距離感で認められることには疑問の声も出てきそう。原子力規制委員会や環境庁が分析するか、分析業務を行う事業者を選定すべきだろう。東京電力の事故発生からこれまでの行動からは、利害関係のまったくない、むしろ規制する側の関係機関が選定した分析業者にあたらせることが国民の信頼にこたえることになるといえよう。(編集担当:森高龍二)