社会民主党の福島みずほ前党首は東京電力福島第一原発事故により、放射性物質に汚染された地下水が1日約300トン、海に流れ出ている問題について「地震によって様々なところがひび割れたり、破損した可能性がある」として「地震による破損の可能性を考慮すべき」と提起した。
政府の原子力災害対策本部は汚染された地下水が推定で1日300トン、海に流出していると公表し、安倍晋三総理は「特に汚染水問題は国民の関心も高く、対応すべき喫緊の課題」と位置づけ、「東京電力に任せるのでなく、国としてしっかりと対策を講じる」考えを表明。
安倍総理は茂木敏充経済産業大臣に「東電をしっかり指導するとともに迅速・確実に重層的な対策を講じるよう」にと指示。田中俊一原子力規制委員会委員長には「安全確保にむけ、原因究明と有効な対策について、規制当局の立場から全力をあげて取り組んでほしい」と要請した。
一方、当事者の東京電力は9日午後2時過ぎから1号機・2号機タービン建屋東側に設けた集水ピットからの地下水汲み上げを開始し、2号機立坑への移送を始めた。しかし、移送できる量は流出量の3分の1以下にとどまるとみられ、抜本的な対策に至っていない。9日の汲み上げ移送量は午後2時から午後8時までの6時間で13トンだった。
東電は「監視を強化するとともに、護岸の地盤改良工事の継続、取水電源ケーブルトレンチ内の汚染水の移送、海水配管トレンチ内の汚染水の浄化など汚染の拡大防止に努める」としている。(編集担当:森高龍二)