内閣は、2009年3月の「リーマン・ショック」回復期からの景気拡大局面が、12年4月まで37ヶ月間続いたと、暫定的な判定を行った。
こういった「景気の山」や「景気の谷」は、内閣府経済社会総合研究所長の諮問研究会である「景気動向指数研究会」にて、民間の専門家が議論を重ねて判定される。
今回判定された12年4月を山とする景気拡張期は、「リーマン・ショック」後の回復局面も含めたことから、そのテンポは急速で、拡張期間は過去平均の36.2ヶ月を上回り、過去6番目だった。
11年3月に発生した東日本大震災後の景気は、サプライチェーンの寸断により生産が急速に低下したものの、その後回復。復興需要や政策効果によって景気回復基調が続いたとの判断から、今回の判定では「景気の谷」とはされなかった。
「景気の山」と判定された12年4月以降の景気について、「景気動向指数研究会」座長の吉川洋氏(東京大学大学院教授)は、「ヨーロッパ危機などによる、海外経済の落ち込みにより、輸出の減少や設備投資の低下が足を引っ張った」とコメントし、その後景気は後退局面に入ったとの見方を示した。しかし12年秋以降は、為替の円安や株高の進行により、景気そのものは上向き傾向になったとの判断を示しており、景気後退局面は非常に短い期間で終了した可能性が高いとも述べた。
吉川座長によれば、「景気動向指数研究会」の1人の委員から、12年11月が「景気の谷」に当たるのではないか、との見方が示されたようで、その後から現在までは景気拡大局面にあるものの、他の委員からは「株価上昇や消費税増税前の駆け込み需要により、消費先行の通常とは異なる状態にあるのではないか」との指摘もあったらしい。
「景気動向指数研究会」では今回、09年4月からの第15循環の「景気の山」を暫定的に判定したが、今後の経済指標の季節調整替えの影響などにより、確定を行う際には、「景気の山」とその後の「景気の谷」は、同時に決定される。(編集担当:滝川幸平)