景気回復について耳にすることが、このところ増えている。7月の政府月例経済報告の基調判断にも「景気は着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」と記されている。状況は確実に良い方向に向かっているということなのだろう。
日本政策投資銀行は、2013年度設備投資計画に関する調査をまとめた。製造業、非製造業ともに増加し、全産業で10.3パーセント増と2年連続の増加となった。
おもな特徴としては、非製造業では22年ぶりに2桁増となっておりコンビニなどの新規出店、再開発などの不動産開発や物流施設整備などの設備投資が大幅に増えている。非製造業が計画段階で2桁増となるのはバブル期の1991年度以来実に22年ぶり。「アベノミクス」効果が鮮明になってきているといっていいのかもしれない。同社は消費マインドの改善や消費形態の変化に伴い、商業施設だけでなく物流施設など関連分野への広がりがみられるとしている。
製造業の投資動機としては、「維持・補修」のウエイトが過去最高となっている。今回初めて「維持・補修」が「能力増強」を逆転し、最大の投資動機となっていて、同時に「合理化・省力化」も上昇。「能力増強」の投資金額自体は増えているものの、相対的にそのウエイトは低下している。
設備投資マインドに前向きな兆しが現れており、13年度に設備投資を増加させる理由として、3割程度の企業が中長期的な期待収益率の改善を挙げている。ただ設備投資は引き続きキャッシュフローの範囲内にとどまる見通しだが、企業の投資環境に対する認識に変化がみられつつある。
製造業(10.6パーセント増)は、鉄鋼を除き石油や自動車をはじめすべての業種で前年を上回る。石油は、製油所・サービスステーションの再編・合理化などにより増加し、加えてエコカー関連の投資連鎖などもあり自動車、化学も増加している。
非製造業(10.1パーセント増)は、鉄道の安全対策や不動産開発、空港施設、道路貨物・倉庫の物流施設整備がある運輸が増加するほか、首都圏で再開発プロジェクトが継続する不動産、コンビニなどの新規出店が増加する卸売・小売も増加という状況である。
筆者は具体的に景気回復をまだ実感してはいないが、このような数字を読んでいると、やはり気分は良くなってくるものである。(編集担当:久保田雄城)