【日経平均】100円を超える上げ下げの末、24円の小幅安

2013年08月26日 20:20

 前週末23日のNYダウは続伸し46ドル高で15000ドルの大台回復。新築住宅販売件数が前月比13.4%減で市場予測を下回ったが、「指標が悪いほうが量的緩和縮小が遠のく」という見方でダウは上昇。マイクロソフトのバルマーCEOが1年以内の退任を表明し、同社株は経営刷新期待で7%を超える上昇でNYダウのプラス寄与度+18ドル。26日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は132円台前半になっていた。

 取引時間前の外資系証券の注文動向は5日ぶりの買い越しで、日経平均は59.01円高の13719.56円でスタート。午前9時13分に13741円をつけた後マイナス圏まで下がり、10時を回ると13586円まで一気に100円を超える下落。その引き金は「米英、シリア攻撃準備か」という速報で、原油価格に影響するので「遠くの戦争は買い」とはいかない模様。しかし上海、香港市場がプラスで始まった10時30分すぎから再びプラス圏まで100円以上も上昇し、その後は前日終値近辺でもみあい前引けはマイナス。後場はプラスで始まって値動きが小さくなりおおむねプラス圏の30円高以内で推移するが、午後1時30分すぎから小幅のマイナスに。それでも後場の値幅は80円程度で、終値は24.27円安の13636.28円だった。この日、為替のドル円は98円台の中で上下40銭ぐらいしか動かなかったが、日経平均の値幅は155円もあった。TOPIXは-1.63の1140.00。売買高は15億株、売買代金は1兆2759億円で、19日ほどではないが今年最低に近かった。

 値上がり銘柄699に対し値下がり銘柄907で約1.3倍。東証1部の業種別騰落率の上位は不動産、その他製品、サービス、鉱業、建設、小売など。下位は電気・ガス、保険、海運、証券、空運、その他金融などだった。

 メガバンク3行も大手証券株も軒並み安。東京電力<9501>は値下がり率2位の35円安で終値が500円を割り込み7日続落。円高が進行しなくても輸出関連銘柄は悪く、自動車株は軒並み不振で電機株はソニー<6758>の15円高が目立った程度。鉄鋼も新日鐵住金<5401>値動きなし、神戸製鋼<5406>1円安と低調だったが、日本冶金工業<5480>は終値は1円高でも売買高4位と活発に買われて17円高まで上がっていた。

 終盤急伸し64円高で値上がり率1位に滑り込んだのが3Dプリンター関連のMUTOHHD<7999>で、売買高も11位。澁谷工業<6340>は山口大学と肝臓の再生医療に関する共同開発契約を締結したと発表して3日ぶりに反発し284円高で値上がり率2位に入った。三井化学<4183>は野村證券が投資判断を引き上げて8円高。日本ペイント<4612>は23日に400万株の自社株買いを発表し45円高で4日続伸。ウェザーニューズ<4825>は日経新聞が報じたスマホを活用したゲリラ豪雨予報サービスが材料視され104円高。ぐるなび<2440>は業績好調で4~9月中間期の営業利益見通し11億円を16億円に上方修正して71円高。利益率の高い家具の販売が好調な島忠<8184>は2014年8月期の営業利益が4%増という業績観測報道が出て51円高になっていた。

 政策期待がある人材派遣関連はこの日も好調で、キャリアデザインセンター<2410>は年初来高値を更新し値上がり率4位、フルキャストHD<4848>は値上がり率10位、テンプHD<2181>は値上がり率12位で、パソナG<2168>、アウトソーシング<2427>も買われた。ITなど成長分野で採用意欲が出て、各社が35歳以上の転職支援に力を入れているという記事も出ていた。

 女性活用につながる保育所の「待機児童ゼロ」は安倍内閣の政策目標だが、厚生労働省が企業内保育所での待機児童の受け入れを進めるために規制を緩和し、民間大手は2014年度に保育所の新設を4割増やすと報じられJPHD<2749>は23円高、サクセスHD<6065>は92円高。民間参入で先行し、「横浜保育室」など独自の制度もあり待機児童ゼロを実現した横浜市の林文子市長が前日、大差で再選されたのも追い風になったようだ。

 インフラ輸出では近畿車輛<7122>がアメリカのロサンゼルス郡都市交通局から鉄道車両97編成3億6000万ドル分を受注したと発表して30円高で値上がり率6位。火力発電用の高効率二酸化炭素回収装置を開発したと報じられたIHI<7013>は6円高だった。

 ネット、ゲーム関連ではユナイテッド<2497>が中国の検索サイト大手の百度と提携したと報じられストップ高比例配分の500円高。サイバーエージェント<4751>は年初来高値を更新し、LINE関連の代表格アドウェイズ<2489>もガンホー<3765>も大幅高。KLab<3656>も38円高で売買代金7位だったが、グリー<3632>はいちよし経研が投資判断を引き上げて前場は買われたものの、後場は低迷し3円安で終えていた。

 スマホ販売戦線で「スリートップ」の布陣で反攻態勢を整えたNTTドコモ<9437>が3200円高になり、NTT<9432>も10円高。スリートップのソニーは15円高、シャープ<6753>は5円安、富士通<6702>は3円安。受けて立つKDDI<9433>は100円安、ソフトバンク<9984>は30円安と売られた。携帯キャリア3銘柄は売買代金ランキング3~5位を占め、注目を集めていた。

 この日の主役は建設・不動産株。国土交通省が2014年度予算案の概算要求に、インフラ老朽化対策や耐震化対策など今年度当初予算の17%増の公共事業関係費を計上するというニュースがあり、東京五輪期待も加わって人気が続く。大手ゼネコンの大成建設<1801>は6円高、清水建設<1803>は7円高でともに連日の年初来高値更新。鹿島<1812>も7円高。業種別騰落率トップの不動産は三井不動産<8801>が30円高、三菱地所<8802>が25円高、住友不動産<8830>が150円高で売買代金8位、東急不動産<8815>が38円高で、大手4銘柄合計で日経平均に10円プラス寄与した。PS三菱<1871>、安藤ハザマ<1719>、東急リバブル<8879>のような中堅銘柄も買われ、日本橋梁<5912>は値上がり率13位。含み資産株の東京都競馬<9672>は31円高で売買代金7位、値上がり率9位に入り、三越伊勢丹HD<3099>、Jフロントリテイリング<3086>のような百貨店株も後場、物色されていた。(編集担当:寺尾淳)