自動運転装置はドライバーの自由を奪うのか?

2013年09月04日 19:56

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今回マツダが広島市内で行う実験は、毎日市民15万人が利用する路面電車と自律型車載センサー搭載の自動車との間で通信を行ない、接触事故を未然に防ぎ、安全で円滑な運転を支援するシステムの検証が中心となる。 

 自動車の自動運転に向けて製品やシステム開発が進んでいる。国際的な自動車用メガサプライヤーであるドイツのコンチネンタルでも開発が進む重要な戦略技術だ。コンチネンタル社は、ドライバー・アシスタントシステムを提供する大手サプライヤーで、1999年にメルセデス・ベンツSクラスの開発プロジェクトに参加して以降、世界の自動車メーカー100以上のプロジェクトに参画した。

 「コンチネンタルの自動車部門では、2025年までに完全な自動運転の実現を目指しており、実現に必要なすべての項目について計画を立てた」とコンチネンタル社の取締役会長エルマー・デゲンハート氏がリリースで述べ、次いで具体的な自動運転技術確立のスケジュールについて以下のように述べた。

「コンチネンタルでは自動車部門を中心に今後数年間に数10億ユーロを研究開発費に投じ、将来のモビリティに向けた技術開発を行なう。自動運転は今後のモビリティ分野での主要な要素。システムサプライヤーとして、2016年までに部分的に自動化する一連のソリューションを開発し提供する予定だ。また、高速走行や複雑な運転状況下でも対応可能なアプリケーションを開発し、高度な自動化のシステムを2020年に、そして完全自動化のシステムを2025年までに提供したい」

 自動運転技術がここ2〜3年で急浮上してきたのは、クルマの安全性能を追求するなかで、プリクラッシュ・ブレーキなどの衝突回避&軽減装置などドライバー・アシスタントシステムの進化がある。日本メーカーでも富士重のアイサイトやトヨタのプリクラッシュセーフティシステムなどの電子制御装置搭載が進んでいる。富士重やトヨタのシステムは、既にクルーズコントロールと組み合わせて先行車に追随して加速追従、減速停止する電子制御装置に進化し、自動運転に一歩近づいたシステムとなっている。

 マツダでも安全運転支援システム搭載車の開発を進めており、この9月から公道で実証実験を開始した。同時に、10月14日〜18日に開催される「第20回ITS(Intelligent Transport Systems)世界会議東京2013」で最新の安全運転支援システム搭載車「マツダ・アテンザASV-5」のデモ走行を行なう。ASVとはAdvance Safety Vehicle(先進安全自動車)だ。また、世界会議の一環として10月20日〜21日に世界初の試みとして広島の路面電車と自動車間において通信による安全で円滑な運行を支援システムのデモも行なう予定だ。

 自動車の「自動運転」というとドライバーの自由度を制限するシステムのように聞こえがちだが、サプライヤーを含めた自動車メーカー各社は、「ドライバーの安全運行を支援するシステム」としてクルマを統合制御しようとしている。(編集担当:吉田恒)