NYダウは雇用統計発表前の様子見ムードで6ドル高だが3日続伸。もはやシリア攻撃も量的緩和縮小も「不可避なもの」として市場に織り込まれ、市場予測を大きく上回ったISM非製造業景況指数、新規失業保険申請件数の改善は素直に好感されたが、3%目前まで上昇した長期金利が重しになった。ADP雇用統計の数字は市場予測よりやや下。前日大引け後の東京時間にタッチしたドル円100円台はロンドン時間を経てNY時間には定着したが、ECBのドラギ総裁が記者会見で利下げに言及したためにユーロのほうは安くなり、6日朝方の為替レートはドル円は100円台前半、ユーロ円は131円台前半だった。
ドル高円安を受けて日経平均は23.59円高の14088.41円でスタートするが、3分ほどでマイナスに沈み、ドル円の100円割れに伴って急落して14000円も13900円も割り込み、午前9時42分には13892円まで下げる。朝から50銭を超える円高の勢いが止まらず、10時をすぎると一段安になり13900円をはさんだ値動きで推移した。後場は13900円を上回る時間帯が多くなったが、為替は徐々に円安に戻しても14000円の大台は取り戻せない。午後2時をすぎると為替の円高反転に伴って再び一段安で13850円近辺に沈み、終値は204.01円安の13860.81円。日中値幅は265円もあった。4勝1敗で前週末に比べて471円上昇したが、14000円の大台を守れずに今週の取引を終えている。TOPIXは-10.02の1147.82。売買高は22億株、売買代金は1兆7092億円だった。
日経平均の下落については、週末の注目イベントを前に手じまいしてリスクを減らしていたという見方も、欧米メディアに出始めたオリンピック開催地は「マドリード有利」の報道が影響していたという見方もあった。もっとも、5日のマドリード市場のIBEX35指数は0.7%しか上昇せず、海外の投資家が買い向かっていた感じではなかった。
値下がり銘柄が1159で東証1部全体の3分の2を占め、値上がり銘柄は459。業種別騰落率の値上がり銘柄は鉄鋼、海運、鉱業の3銘柄だけ。空運は変化なく、値下がり銘柄の中で下落率が小さいのは精密機器、輸送用機器など。値下がり率が大きいのは不動産、水産・農林、その他金融、証券、パルプ・紙、繊維などだった。
日経平均プラス寄与度トップはホンダ<7267>で+2円。マイナス寄与度トップはファーストリテイリング<9983>で-50円、2位はソフトバンク<9984>で-16円。この2銘柄で下げ幅の約3分の1を占めていた。
メガバンク3行も証券大手も下落。自動車大手ではホンダ<7267>がこの日発売の燃費世界一の新型フィットの受注が好調と伝えられ25円高で5日続伸したが、それ以外の上昇株は20円高のダイハツ<7262>ぐらい。電機大手では2円高の東芝<6502>と11円高のソニー<6758>ぐらい。4Kテレビを10月に発売するパナソニック<6752>は9円安。鉄鋼株は好調で業種別騰落率トップに入り、新日鐵住金<5401>は3円高で5日続伸し年初来高値を更新し、日新製鋼HD<5413>、東京製鐵<5423>が年初来高値を更新。JFEHD<5411>は22円高だった。
リコー<7752>はUBS証券が投資判断を引き上げて18円高。積水ハウス<1928>は前日に2~7月中間期の大幅増収増益、純利益約2倍、通期見通しは全て上昇修正で過去最高という好決算を発表したがタイミング悪く3円安。ムーディーズが格付けを1段階引き上げたブリヂストン<5108>も15円安だった。なお、明治HD<2269>は「飲むヨーグルト」にゴムパッキンの破片が混入していたため100万本を回収すると共同通信が配信し、後場急落して90円安になっていた。
オリンピック関連では今週上昇していた銘柄に利益確定売りが相次いだ。建設関連の大成建設<1801>は17円安、不動産関連の住友不動産<8830>は65円安、三井不動産<8801>は80円安、三菱地所<8802>は68円安、ケネディクス<4321>は37円安で値下がり率5位。東京ベイエリア含み資産関連の東京都競馬<9672>は22円安で値下がり率18位、業績見通しの上方修正を行っても東京ドーム<9681>は29円安だった。外国人旅行者の増加が期待されたエイチ・アイ・エス<9603>は2時に第3四半期の決算発表を行い、営業増益でも通期進捗率が44%しかない点を嫌気され310円安で値下がり率12位。オリンピックの本来の主役のスポーツ関連もミズノ<8022>、ゴールドウイン<8111>がともに25円安だった。
この日の主役は何と言ってもNTTドコモ<9437>。アップルのiPhoneの発売を日経新聞、朝日新聞、NHKが相次いで報道し、午前中に会社が出したリリースも「現時点において開示すべきと決定した事実はございません」という微妙な言い回し。新型iPhone「5S」をソフトバンクやKDDI<9433>(au)と同じ20日に発売するといい、日本中で騒がれて朝から買いを集め売買代金3位。株価は朝の6000円高の高値から下落してマイナスになる時間帯もあったが、終値は900円高の160500円だった。午後に発表された8月の契約純増数は4万3000で、25万のソフトバンク、20万のauとはケタ違いで大きく水を開けられていたが、はたして逆転できるだろうか。相手のソフトバンクは売買代金1位だが140円安で、KDDIは10円安。一方、NTTドコモによってiPhone採用の〃当て馬〃にされた格好の「冬商戦スリートップ」のシャープ<6753>は2円安、富士通<6702>は9円安だったが、ソニーは11円高で7日続伸した。新しい「エクスペリアZ1」はiPhoneにも決して負けない自信あり、か。(編集担当:寺尾淳)