【日経平均】405円高で14000円の大台まであと22円

2013年09月03日 20:17

 2日のNY市場はレイバーデー(労働者の日)で休場。3日朝方の為替レートはシリアをめぐる地政学的リスクの後退、ヨーロッパの経済指標の持ち直しなどで前日夕方から円安が大きく進行し、ドル円が99円台半ば、ユーロ円が131円前半になっていた。

 為替の追い風を受けて日経平均は175.76円高の13748.68円と、マドを空けて上昇して始まる。すぐに13800円台に乗せ、10時前にタッチした13900円台に後場定着。オーストラリア準備銀行が政策金利を据え置いたこともありドル円は99円台後半まで円安が進んで先物主導で後押しし、日経平均が週明けから500円以上も上がれば様子見を決め込んでいた市場参加者を呼んでくるようで商いも前日より活発になった。2時30分すぎにこの日の最高値をうかがう動きが何度もあり、終値は405.52円高の13978.44円で、14000円の大台まであと22円に迫った。「寄り安の高値引け」で始値=安値、終値=高値になったため、ローソク足はヒゲがなくてさっぱりした白い真四角に。TOPIXも-31.40の1149.18で高値引けだったがこちらのローソク足は下にうぶ毛が生えている。低位株の売買が活発だったので売買高は24億株で8月7日以来の水準だったが、売買代金は1兆9565億円で2兆円に一歩及ばなかった。

 日経平均が今年6番目の上昇幅の全面高で、値上がり銘柄1629に対して値下がり銘柄は88で2ケタという少なさ。当然、業種別騰落率も全業種プラスになり、上位は証券、ゴム、その他金融、電気・ガス、倉庫、銀行など。下位は空運、水産・農林、ガラス・土石、建設、石油・石炭、サービスなどだった。

 日経平均プラス寄与度の1~3位は前日に引き続き「御三家」。先物主導で大きく上がる日はそうなる。寄与度は+93円。日経平均225種のマイナスは5円安の大林組<1802>ただ1銘柄のみ。後場途中まで同業の大手ゼネコンの清水建設<1803>や昭和シェル石油<5002>が連れ添ったが、終盤で両銘柄ともプラスになり生き別れた。

 金融系の銘柄は大きく値上がりしたが、三菱UFJ<8305>の29円高、5.02%上昇と野村HD<8604>の34円高、4.89%上昇が目を引く。証券は業種別騰落率トップ。自動車では三菱自動車<7211>が77円高、7.70%上昇と縁起のいい数字を並べて急騰。トヨタ<7203>も200円高だった。東京電力<9501>は17円高。原子力委員会の有識者会合が「大飯原発の敷地内の断層は活断層ではない」という見解を出し関西電力<9503>は91円高で値上がり率11位になり、原発関連銘柄の木村化工機<6378>も37円高で値上がり率10位に入っていた。

 ピジョン<7956>は前日発表の中間期決算が49%の営業増益になり、通期の営業利益の見通しを12億円上方修正した。中間配当も期末配当も増配し野村證券が目標株価を引き上げては、360円高で値上がり率12位も納得できる。政策で盛り上がる「子育て関連」の代表銘柄、また中国消費関連銘柄として今後も息の長い人気が続きそうだ。

 値上がり率1位の鉄建<1845>は32円ストップ高で年初来高値を更新。好調な建設株の一角だが、これは低位株マネーゲームの「新しいおもちゃ」で、あきられたら見向きもされなくなるはず。2位で80円高ストップ高比例配分で年初来高値更新のリケンテクノス<4220>は、スマホ画面用のフィルム新材料を開発し従来のガラス画面と同等の硬度で重さが10分の1になるという真っ当な技術系の材料あり。だが3位に入り、121円高で年初来高値を更新したソースネクスト<4344>が買われた材料は、9月11日(尖閣諸島国有化の日)と18日(満州事変の発端の柳条湖事件勃発の日)に日本へのサイバー攻撃の活発化が予想されるという物騒なもの。中国の古典に「小人閑居して不善を為す」(「大学」)という言葉があるが、ネットの時代でも立派に通用しそうだ。

 なお、取引時間中にマイクロソフトがノキアの携帯端末事業を買収するニュースが流れたが、ノキアは2008年に日本市場から撤退済みで海外旅行用レンタル携帯ぐらいでしかお目にかかれないので特に影響はなかった。

 アイフル<8515>、オリコ<8585>、ケネディクス<4321>、東京都競馬<9672>の値下がりは前日の反動だが、20円安のサントリー食品<2587>は8月は「TOPIXリバランスがらみの下落」と説明されたが、9月になっても下落が止まらず6日続落と深刻。ヒントになりそうなのが同業の伊藤園<2593>の26円安で、前日発表の5~7月期の第1四半期決算が営業増益8.1%でも「猛暑効果がそれほど出ていない」とみられサントリー食品同様に前場のプラス圏から急落した。「7月からあんなに暑かったから空前の販売実績だろう」とみられ、ハードルが高くなっているようだ。

 この日の主役は「人材ビジネス」。アウトソーシング<2427>は一時ストップ高で値上がり率4位、フルキャストHD<4848>は31円高で同6位、営業支援の業務請負と人材派遣を兼営するヒト・コミュニケーションズ<3654>が104円高で同8位に入っていた。前日付の「労働新聞」で、厚生労働省が「学び直し支援・労働移動促進」に向けて民間人材ビジネスの活用を促進する方針を打ち出したと報じられた。人材ビジネスの活用については、その事業者の紹介で雇入れた場合も「トライアル雇用奨励金」の支給対象に加えたり、ハローワークの求人情報の事業者への公開も行うという。有料の人材ビジネスと無料のハローワークはこれまで関係が微妙だったが、お互いにタッグを組んで雇用問題の解決に取り組む道が開けることになる。(編集担当:寺尾淳)