復興特別法人税前倒し廃止検討に反発相次ぐ

2013年09月22日 10:18

 安倍総理が来年4月の消費税増税の前提になる5兆円規模の経済対策の一環として、法人税に上乗せしている復興特別法人税(税額10%)の廃止を1年前倒しし、来年4月に法人税率を引き下げる方向での調整を指示したが、これに野党だけでなく、与党からも「国民の理解は得にくい」と難色を示す声が上がっている。

 与党・公明党の山口那津男代表は「個人には消費税の負担を求め、所得税で負担を残しながら、法人税だけ軽くするのは国民の理解を得るのは難しいのではないか」との考えを示した。政府からの説明もないとして不快感も示した。

 社会民主党の福島みずほ前党首は「個人は所得税に復興増税が25年間付け加えられている。個人は25年、法人は廃止なんて、不公平」と反発している。

 安倍総理は個人の所得が増えるよう経営・労働・政府による政労使の三者会議を開き、経済政策効果で生まれる果実(収益)の社員給与への反映を求めているが、これとは別に復興増税は震災復興のための重要な財源で、消費税増税に備えた経済対策のために法人増税分のみを前倒し廃止する不公平感を打破するのは厳しいものになりそう。ちなみに復興特別法人税を廃止すれば、実効税率で2%強の法人税引き下げになるという。法人対策にはかなり力を入れる総理だが、この果実が賃金上昇や雇用の拡大にどこまで反映するか、注視しなければならない。(編集担当:森高龍二)