「クール宅急便」が普及する前は、新鮮な刺身や鮮度は求められる魚料理は、東京では一部の高級店のメニューだった。しかし全国各地の生鮮食料品が低コストで配送が可能になって、たとえば大衆的な居酒屋でも、それまでの高級店に負けないような刺身や産地直送の野菜料理を高いコストパフォーマンスで食することができるようになったと、筆者は実感している。
ヤマトホールディングス<9064>傘下のヤマト運輸は、10月28日(月)より日本発香港間の「国際クール宅急便」の取り扱いを開始する。
近年、日本の農水産品は食の安心・安全が重要視されるアジア市場においてニーズが極めて高く、また、TPP・FTAなど貿易自由化に向けた動きに伴い、日本政府としても農業再生に代表される農水産品の輸出拡大・6次産業化を政策として進めている。
しかし、国際間保冷輸送は日本全国から利用可能な小口単位での保冷輸送サービスが無いため、配送の利便性や品質面において課題が多く存在し、日本の生産者にとって販売機会のロスが発生していた。
そこで今回「国際クール宅急便」の商品化により、国際間の小口保冷輸送を実現します。日本全国とアジアの宅急便ネットワークをつなぐことで安定的で高品質な翌日配達が可能となる。
アジアで急速に成長している通販や生鮮品などのお取り寄せに加え、温度管理の必要な工業製品やサンプル品に対応することで、日本のモノづくり事業者のアジア市場への輸出・販路拡大を支援していくと同社はしている。
冷蔵帯(2度~10度)、冷凍帯(-15度以下)で荷物1個から集荷が可能で、 日本国内と同様に、日本全国から海外の届け先まで同社が一貫保冷輸送する。
昨年11月より利用開始した沖縄国際物流ハブとANA<9202>の航空ネットワークと保冷輸送力をフル活用する。価格は三辺合計が60cm以下で重量が2kg以下の「60サイズ」が6050円。
今後の展開については、国際クール宅急便の配達可能地域を宅急便展開国に順次拡大していくとしている。
これからカニのおいしい季節。たとえば札幌に旅行したついでに、香港に住む親戚に、カニを「クール宅急便」で送ることができるようになるわけだ。しかも翌日には、親戚の食卓にはもうカニが載っている。それは素敵なことである。(編集担当:久保田雄城)