ホットミルクを飲むと気分が落ち着くのは本当だった

2013年09月23日 15:09

 ウディ・アレンの映画「アニー・ホール」で、イライラしている主人公に向かって、恋人がこう言う。「あったかいミルクを飲んで、気分を落ち着けようよ」。筆者はこの映画を観て以来、それを実践してきた。確かにそうすると気持ちは落ち着くのだ。

 明治は、ホットミルクを飲んだときの“ホッとする”状態について、同社の食品開発研究所と金沢工業大学感動デザイン工学研究所が行った実験の結果、生体反応として科学的に確認したと発表した。

 ホットミルクを飲むことで、身体があたたまり、リラックスすることは一般的によく知られている。この効果については、牛乳中に含まれるメラトニンをはじめとする種々の栄養成分の関与が報告されているが、生体反応として科学的に検証した例は今までほとんどなかった。

 今回、同社と金沢工業大学は実際にヒトの心と身体がどのような状態になっているかに着目し、ホットミルクの飲用の有無による比較実験を行った。その結果、主観評価及び生理機能の測定によって、「ホットミルクを飲むとリラックスする」現象を科学的に確認した。

 実験は20代男性10名を被験者として計算課題を3分間解答させて“ストレス状態”にした後、60℃のホットミルクを飲んだ場合と、ホットミルクと同じカロリーになるようショ糖を添加した60℃のお湯を飲んだ時の違いを、主観評価と、心電計測およびサーモグラフィによる顔面温度測定により比較するというのもの。その結果、主観評価ではホットミルクを飲んだ時のほうが緊張やイライラの度合いが低く、心理的にもストレスが緩和されていることが分かった。

 またストレスにさらされた場合、交感神経の活動が高まり、顔面温度の低下を招くが、心電計測とサーモグラフィによる顔面温度測定では、ホットミルクを飲んだ場合の方が、統計的に交感神経活動指標が低い状態(副交感神経活動が高い状態、すなわちリラックス状態)であることが明らかになった。

 これからの季節、たとえイライラしていなくてもホットミルクがおいしい季節だ。(編集担当:久保田雄城)