【日経平均】終値193円高で7月25日以来の14500円台

2013年09月18日 20:16

 NYダウは34ドル高で3日続伸。NAHB住宅市場指数の上昇の勢いは止まったが、自社株買いと増配を発表したマイクロソフトなどITセクターが買われた。FOMCが始まり、大方の見方は「最初は量的緩和を50~100億ドル程度縮小」で、それを織り込んで縮小開始でも下押し要因にならない観測が有力。縮小延期ならば株価上昇か。結果は日本時間で19日午前3時頃に出る予定でバーナンキ議長が記者会見する。18日朝方の為替レートは、ドル円は99円台前半、ユーロ円は132円台前半で前日とあまり差がなかった。

 日経平均は99.88円高の14411.55円で始まり、瞬間14400円を割るが開始30分少々で14500円を突破し先物主導で上昇していく。14561円の「五輪決定後最高値」をあっさり更新し、アジア株も堅調で午前10時台の「危険な時間帯」も難なく通過して、11時前には14600円台にタッチした。FOMC待ちの様子見とは思えない値動きで、「縮小開始しても小幅」というFOMCの結果を見切って先取りしているかのよう。後場も午後1時前に14625円の高値を取るが、その後はドル円が円高に向かったこともありジリジリと下がっていき2時前には14500円を再び割り込んでしまい上昇幅も半減した。それでも底堅く2時30分すぎには14500円近辺まで戻し、終値は193.69円高の14505.36円で7月25日以来の14500円台になった。TOPIXは+11.43の1193.07。売買高は30億株、売買代金は2兆626億円で2兆円台を回復している。

 値上がり銘柄1083で値下がり銘柄は557。電気・ガス、保険、非鉄金属の3業種が値下がりで、値上がりセクター下位は建設、鉄鋼、金属製品など。上位はその他金融、海運、証券、精密機器、銀行、ゴムなどだった。

 日経平均プラス寄与度1~3位は「御三家」で日経平均を78円押し上げ上昇幅の4割を占めた。マイナス寄与度1~3位はキヤノン<7751>、KDDI<9433>、コナミ<9766>だった。

 メガバンクが買われ、三井住友FG<8316>は80円高、三菱UFJ<8306>は11円高、みずほ<8411>は4円高でともに上昇率が1.5%を超えた。日経新聞1面の「NISA、200万口座突破」の記事は証券会社には好ましく野村HD<8604>は16円高、大和証券G<8601>は23円高。NISAはいったん口座を開設すると4年間固定されるのが大きい。後場にはノンバンクが買われて業種別騰落率トップになり、オリコ<8585>が売買高15位で19円高、アイフル<8515>が売買高13位、売買代金5位で62円高。アコム<8572>は325円高で値上がり率8位に入った。

 トヨタ<7203>90円高、ホンダ<7267>65円高、三菱自動車<7211>21円高など自動車大手は揃って堅調。自動車部品のデンソー<6902>も85円高。電機のシャープ<6753>は売買高11位と買いを集め6円高で続伸。ソニー<6758>、パナソニック<6752>もプラスで終えている。

 海運株は前日のバルチック海運指数が5%も上昇して商船三井<9104>は4%を超える上昇で18円高、日本郵船<9101>は8円高。80円高と続伸してこの日も年初来高値を更新したJAL<9201>は再上場後、配当政策が評価され外国人比率が倍増し再び50%を超えたというニュースがあった。

 セガサミーHD<6460>は取引時間中に「インデックスから経営譲渡を受ける」というニュース速報が入った。6月に経営破たんし7月に上場廃止になったインデックスは「アトラス」の親会社でセガの家庭用ゲームの立て直しに貢献できると思われたが10円安。やはり140億円は高い買い物か?

 値上がり率ランキングでは6位に結婚式プロデュースのT&Gニーズ<4331>、7位にメカトロ・エレクトロニクス商社のサンワテクノス<8137>、13位に注文住宅のタマホーム<1419>が入った。五輪関連銘柄の大波が一段落して秋が深まれば、こうした個性派の銘柄がまた見直されそうだ。新興市場ではバイオ関連が買いを集めていた。

 一方の値下がり率ランキングではデイシイ<5234>が1位、鉄建<1815>が2位、世紀東急工業<1898>が4位、大豊建設<1822>が5位、淺沼組<1852>が6位、大末建設<1814>が16位など、前週早々から五輪関連として相場を引っ張った銘柄が並んでいた。大手ゼネコンの大成建設<1801>は9円安で3日続落、鹿島<1812>は3円安で5日続落。それでも有明地区に商業ビルを持つテーオーシー<8841>が66円高、芝浦、大井埠頭に倉庫群を持つ安田倉庫<9324>が110円高で値上がり率11位と買われ、「出遅れ組」への物色意欲は相変わらず。

 アメリカ市場がらみでは、川崎重工<7012>はロングアイランド鉄道から676両、1800億円分の車両を受注したという報道で18円高になり年初来高値を更新した。IHI<7013>はアメリカでバイオマス発電や風力発電の発電所を8カ所で運営すると報じられ4円高。小売ではドン・キホーテ<7532>がアメリカ事業の今期の営業利益見通しが6割増と報じられ140円高になっていた。

 アメリカと並ぶ大市場の中国では昨年の今ごろ反日デモ、日系企業襲撃の嵐が吹き荒れていた。この日はサイバー攻撃が予想された「9.18」だったが取引時間中は平穏。昨年、湖南省で大型店3店が破壊と略奪のターゲットになり約5億円の被害を受けた平和堂<8276>は6円高。中国関連のコマツ<6301>は20円高だが日立建機<6305>は6円安。日産<7201>は2円高。年度内をメドに吉林省長春市に鉄道車両用の部品工場を建設すると報じられた日立<6501>は10円高。今月30日に江蘇省無錫市に高級スーパー1号店を開設し中国進出を果たすマルエツ<8178>は値動きなし。2017年度までに中国で20店舗を出店するという。

 この日の主役は「半導体関連銘柄」。製造装置の東京エレクトロン<8035>は235円高で+5.27%の大幅上昇。同業の大日本スクリーン<7735>は4円高、アドバンテスト<6857>は14円高、日立ハイテク<8036>は8円高。シリコンウエハーの信越化学<4063>は160円高で、露光装置のニコン<7731>は24円高。半導体部品・基板の京セラ<6971>も60円高だった。前日のNY市場でインテルなど半導体セクターが好調だったのに加え、4日の韓国SKハイニックスの中国江蘇省・無錫工場の火災でDRAM価格が上昇し、「対岸の火事」が業界の空気を明るくしている。とはいえルネサスエレクトロニクス<6723>は1円安とさえず、元気なのは製造装置関連ばかりだった。なおSKハイニックスは無錫工場の生産を10月から正常化するとアナウンスしており、DRAM価格が高いのも9月いっぱいか。(編集担当:寺尾淳)