【日経平均】三連休前の利益確定売りで踊り場の23円安

2013年09月20日 20:18

 NYダウは40ドル安で5日ぶり反落。新規失業保険申請件数もフィラデルフィア連銀製造業景況指数も悪くなかったが、前日の量的緩和縮小延期で史上最高値までのぼりつめてひと休み。市場の関心は10月にタイムリミットを迎える連邦政府債務上限引き上げ問題に移ったが、議会の話し合いは進展していない。新型iPhone発売直前のアップルが買われてNASDAQ総合指数は上昇した。新興国からのマネー撤収の懸念が遠のいてリスク回避の円買いとは正反対の円売りで、20日朝方の為替レートはドル円が99円台前半、ユーロ円が134円台半ばまで円安が進んだ。

 日経平均は35.46円高の14801.64円で始まるが、10分ほどでマイナスにタッチ。その後はアップダウンして14800円近辺に戻る。14700円台後半の前日比プラス水準でもみあった後、50円高まで上げたかと思えば前引け前にはマイナスまで落ちるなど、買いと売りがせめぎあう展開。しかし後場は一転、軟調になり、マイナス圏まで下げて午後1時32分には14700円割れ寸前の最安値をつける。マイナス圏の14700円台前半で大きくうねり、大引け前に戻すがプラスには届かず、23.76円安の14742.42円で、2勝2敗、前週末から337.75円上昇して今週の取引を終えた。円安の進行で5月24日以来の15000円タッチもありうるかと思われたが、利益確定売りがきつい三連休前の金曜日でもあり、踊り場の一日だった。TOPIXは+3.50の1218.98で3日続伸し「NTねじれ現象」。売買高は34億株、売買代金は2兆2732億円だった。

 TOPIXはプラスで、値上がり銘柄946は値下がり銘柄655より291も多い。業種別騰落率も19対14でプラス優勢。プラス上位セクターはその他製品、精密機器、その他金融、ガラス・土石、卸売、医薬品など。マイナス下位セクターは海運、石油・石炭、証券、電気・ガス、パルプ・紙、建設などだった。

 日経平均マイナス寄与度は「御三家」に京セラ<6971>を加えた上位4銘柄合わせて-26円で値下がり幅の23円を上回り、日経平均はプラスでもおかしくなかった。プラス寄与度上位は1位に109円高のニコン<7731>、3位に85円高の東京エレクトロン<8035>と、今週好調の半導体製造装置関連銘柄が入っていた。

 メガバンクはみずほ<8411>1円高、三菱UFJ<8306>1円高、三井住友FG<8316>50円高と堅調だったが、証券は悪く野村HD<8604>4円安、大和証券G<8601>8円安。自動車セクターは円安を背景にトヨタ<7203>80円高をはじめ富士重工<7270>、マツダ<7261>、三菱自動車<7211>が上昇したが、ホンダ<7267>は20円安で日産<7201>も下げるなどまちまち。後場、インド準備銀行が利上げするというサプライズが起きてムンバイ市場が急落。スズキ<7269>は急落して30円安になり日野<7205>、いすゞ<7202>もマイナスに。FOMCが何もしないのに通貨ルピーの防衛策を講じるとは、インド人にはビックリ。

 前日に安倍首相が福島第一原発訪問後に東京電力<9501>の広瀬直己社長と会談し、停止中の5、6号機の廃炉決定を要請した。12円安の東電は今後10年で1兆円の廃炉費用を捻出するという。バルチック海運指数は9月の下落はたった1日という破竹の勢いだが、海運株はさすがに息切れし商船三井<9104>が15円安になるなど業種別騰落率最下位になった。資生堂<4911>はシティグループ証券がレーティングを2段階特進させると95円高で年初来高値を更新した。

 国土交通省が前日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)は1.9%下落でも、三大都市圏に限ると2008年以来5年ぶりに上昇に転じた。首都圏ではアベノミクス期待で商業地も住宅地も地価が上がり始めている。偶然にもこの日、不動産業のオープンハウス<3288>が東証1部に新規上場し、9時32分に公開価格1780円に対し320円高の2100円の初値がついた。売買代金13位に入る人気で終値は2245円。営業エリアが東京23区と川崎市、横浜市で、基準地価が上昇して五輪がらみでさらに上がりそうな地域をカバーしている。前週13日にマザーズに上場したサンワカンパニー<3187>は17日に公開価格より2550円も高い3500円の初値がついており、今年の新規上場銘柄は全て初値が公開価格を上回っている。

 この日の主役は任天堂<7974>。朝から買いを集めて470円高、値上がり率4.24%でその他製造セクターを業種別騰落率トップに押し上げた。45円高のキヤノン<7751>や、101円高で年初来高値を更新し値上がり率16位のセイコーエプソン<6724>、同18位のニコンのようにヨーロッパ諸国への輸出比率が高くユーロ高でメリットが出る「ユーロ銘柄」の一角。ロンドン外為市場でユーロ円レート134円95銭までユーロ高が進んだのが主な買い材料だったが、前日、「ファミコン」の生みの親の前社長の山内溥氏が死去したことでも改めて注目されていた。

 今年はそのファミコン誕生から30周年。家庭用ゲーム機はスマホゲームに押され気味だが、開催中の東京ゲームショウでは「ニンテンドー3DS」をはじめ、5円高のソニー<6758>傘下のSCEが今年度、全世界で500万台販売を計画し来年2月に国内発売する「プレイステーション4」、マイクロソフトが来年国内発売する「Xbox One」も実機をお披露目した。28円高のバンダイナムコHD<7832>が無料で遊べるオンラインゲームを増やしたり、700円高のガンホー<3765>が3DS用の「パズドラZ」を公開するなど、ファミコンに始まる家庭用ゲーム機陣営は山内氏の弔い合戦でスマホゲームに逆襲をかける態勢を整えている。(編集担当:寺尾淳)