安倍晋三首相は「女性の活躍」を成長戦略の中核と位置づけている。全ての上場会社が1人は女性役員を登用するなどの数値目標を設けたり、育休明け社員の職場復帰を支援し「女性が働き続けられる社会」を目指すという。
こうした成長戦略について、当の女性たちはどう考えているのだろうか。株式会社リビングくらしHOW研究所が、主に子育て世代の女性1351人に聞いたところ、多くの女性は働くことに対して基本的には積極的であることが分かった。
女性たちに「経済的な不安がないとしても働きたいかどうか」を尋ねたところ、「働き続けたい」との回答が約7割を占めた。理由は、有職者の1位は「ほかの人と出会ったり話したりできるため」。無職者の1位は「お小遣いを稼ぐため」。多くの女性は社会とのつながりを求め、働きたいと考えている。
次に安倍内閣の「女性を活用する」方針について尋ねたところ、「賛成」が45.8%と最多で、「反対」はわずか3.5%だった。しかし一方で「どちらともいえない」が36.9%、「分からない」が13.8%もいる。両者を合わせると、半数以上が「女性の活用」について慎重な見方を示した。
その理由を自由に答えてもらったところ「働きたいと思う女性が働けるように環境を整えるのは賛成だが、子育て中の女性も働くのが当たり前という風潮を作るのは反対(38歳 無職)」、「企業の体質が追いつかなければ意味がない(34歳 有職)」「非正規雇用で都合の良いように使われそうな感じがする(37歳 無職)」など、手放しで「女性の活躍推進」を喜べない女性たちの思いがあらわになった。
さらに「育児休業3年」の実現についても「賛成」は3割にとどまり、「どちらともいえない」「よく分からない」が52.5%と多数派だった。育休取得者が出た場合、現場の社員に「しわ寄せ」が来ることを懸念する声や、3年育休よりも「育児と仕事を無理なく両立できる環境」が欲しい、という意見も多い。
多くの女性にとっては「女性の活躍推進」で選択肢が広がったとしても、それを自由に選べる環境が整わなければ、現実的には意味がないのである。(編集担当:北条かや)