【日経平均】朝から急騰、急落を繰り返して結局13円安

2013年10月03日 20:13

 NYダウは58ドル安と反落。9月のADP雇用統計の就業者数は16万6000人増で市場予測を下回り、一時は150ドル近い下落だった。新年度予算成立のメドが立たず連邦政府機関の一時閉鎖が続くが、オバマ大統領の与野党幹部との会談に期待して引けにかけて上昇した。レッタ首相が信任されイタリアの政局混乱が収拾。ECBが政策金利0.5%を据え置いてユーロは持ち直したが、3日朝方の為替レートはドル円は97円台前半、ユーロ円は132円台前半で円高傾向は続く。

 日経平均は30.38円安の14140.11円で始まる。瞬間プラスにタッチするが10分ほどで急落して14100円を割り込んでボトム14082円。長続きせず反発し14170円近辺まで戻すが、午前10時前に再び約80円の急落が起こって14100円割れし、すぐに半値戻しと日経平均は先物主導の不安定な相場が続く。それでもTOPIXはプラスの時間帯が長い。10時台も激動し、中国の非製造業購買担当者景気指数が市場予測を上回る伸びで、前日に貿易赤字拡大で急落した豪ドルレートが大きく回復してドル円も円安に振れ、日経平均は上昇し14217円のピークをつけるが、そこからまたマイナスまで下落した。前日終値近辺でもみあった末、前引けは16円安になる。

 後場は開始直後にプラスになってもあっさりマイナスに。1時間ほど沈んでいた間もTOPIXはプラスだった。午後2時前に再びプラスに浮上し14200円にもタッチするが、2時30分すぎにはマイナスにもタッチと忙しい。最後は小幅高水準を大引けまで維持できず13.24円安の14157.25円で続落。TOPIXは-1.17の1173.99で5日続落した。売買高は24億株、売買代金は2兆396億円だった。

 指数は小幅安でも値下がり銘柄1106に対して値上がり銘柄は526だけ。業種別騰落率は10対23でマイナス優勢。プラス上位は情報・通信、鉄鋼、精密機器、陸運、海運、電気・ガスなど。マイナス下位は保険、鉱業、石油・石炭、ゴム、金属、不動産などだった。

 +34円で日経平均プラス寄与度トップのソフトバンク<9984>は前場こそマイナスだったが、後場は独歩高の290円高と力強く年初来高値を更新。ダントツ1位の売買代金1965億円は東証1部全体の9.6%を占めた。時価総額は9兆円を超えて三菱UFJ<8306>を抜いてトヨタ<7203>に次ぐ2位に浮上。TOPIXでもプラス寄与度トップだった。一方、-11円でマイナス寄与度トップのファーストリテイリング<9983>は前日、9月の国内ユニクロ既存店売上高が前年同月比4.4%増と発表し、メリルリンチ証券が目標株価を引き上げたが、300円安で終えた。

 メガバンクはみずほ銀行の法令遵守担当役員が交代したみずほFG<8411>も三菱UFJも値動きなしで、三井住友FG<8316>は大引け前の急落で25円安。野村HD<8604>は3円高と持ち直した。自動車大手では衝突防止システム「アイサイト」を刷新する富士重工<7270>が、シティグループ証券が目標株価を引き上げて87円高。「いつかはピンクのクラウン」が女性に人気で9月に650台を受注したトヨタは40円高。ホンダ<7267>は20円高だった。

 ユーロの反発でヨーロッパに強いキヤノン<7751>は60円高で、ダイキン<6367>は240円高で値上がり率18位。エプソン<6724>はクレディスイス証券がレーティングを引き上げ80円高で値上がり率16位に入った。前日にソニー<6758>の「エクスペリアZ1」など冬商戦向け新スマホ6機種をお披露目したKDDI<9433>は、iPhone商戦について田中孝司社長が「9月はソフトバンク、NTTドコモ<9437>から流入したことがわかった」と発言し130円高。ソニーは6円安。「おかえり割」を繰り出してもiPhone欲しさに〃家出〃したユーザーがなかなか戻ってこないNTTドコモも9円高だった。

 政策がらみの話題では、日経新聞朝刊1面で医療機関、介護施設を対象とするREIT(不動産投資信託)が解禁されると報じられ、介護関連の代表銘柄ニチイ学館<9792>は18円高。4円高のユニマットそよ風<9707>、175円高のシップヘルスケアHD<3360>などが買いを集めていた。国土交通省が来春までに羽田空港国際線の便数を現在の約5割増、成田の約4割の1日86便にすると報じられ、優先割当を受けたANAHD<9202>は5円高。福島第一原発でまた汚染水漏れを起こした東京電力<9501>は28円安で値下がり率18位。政府が導入する浄化能力2倍の新型の放射能汚染水浄化装置を共同開発すると日経新聞が報じた東芝<6502>は5円高、日立<6501>は6円高になっていた。

 グリー<3632>は200人の希望退職を募集し40円安で株式分割後最安値を更新し値下がり率10位。企業の存続だけが目的の後ろ向きなリストラで、人材の流出が活力の低下を招き業績がじり貧になっていくという、かつてダイエー<8263>などがたどった「いつか来た道」だ。スマホ着せ替えアプリ「CocoPPa(ココッパ)」が全世界で1500万ダウンロード突破と発表したユナイテッド<2497>は700円高。世界の青少年人口12億人の半分が女性と仮定すると、地球上の女の子の40人に1人が楽しんでいる計算になる。

 この日の主役はヤマダ・エスバイエルホーム<1919>。ヤマダ電機<9831>が買収した大阪が本社の木質系プレハブ住宅メーカーで、日経新聞朝刊でヤマダ電機が住宅リフォーム関連売場の面積が2倍の新店舗を9月中に出店すると報じ、朝から買いが集まった。終値は26円高で値上がり率1位。売買高も発行済株式数の約半分の1億82万株で1位になり、売買代金も14位だった。2014年度に住宅関連事業の売上構成比を15%に引き上げる方針のヤマダ電機は売買高11位でも14円安で値下がり率17位になり年初来安値更新。中国の南京、天津の閉店や投資判断の引き下げなどこのところバッドニュースばかりで買いづらい分、エスバイエルのほうが人気化したようだ。(編集担当:寺尾淳)