【日経平均】消費増税への市場の回答は強烈な314円安

2013年10月02日 20:16

 NYダウは62ドル高と反発しNASDAQは13年ぶりの高値。政府機関の一時閉鎖が始まったが、さすがに買い戻された。ISM製造業景況指数が0.5ポイント上昇の56.2で市場予測を上回り2年5ヵ月ぶりの高水準だったのが支援材料。与野党対立の最大の争点オバマケアで設立される「保険市場」の登録が始まりヘルスケアなど関連銘柄が上昇し、市場は共和党の譲歩を織り込み済み。2日朝方の為替レートは、ドル円が98円近辺、ユーロ円が132円台半ばで円高が進んでいた。

 前日午後6時、安倍首相が記者会見で予定通りの17年ぶり消費増税を発表した。5兆円規模の経済対策や復興特別法人税の1年前倒し廃止など事前に伝えられた内容ばかりでサムシングニューはなく、材料出尽くし。会見中にCME日経平均先物は175円も急落しドル円も大きく円高に振れた。ザラ場中だったら市場を余計に混乱させていただろう。

 取引時間前の外資系証券の売買注文動向は売り越し。だが日経平均は小幅7.75円高の14492.47円で始まり、14500円を突破して14569円までのぼりつめた後、午前10時台にはマイナス圏まで落ち10時30分すぎには14400円も一時割り込む。11時をすぎるとオーストラリアの8月の貿易収支で貿易赤字が大きく拡大したのを嫌気して豪ドル安・円高が進行し、ドル円も97円台で円高が進み下げ足が止まらず、前引けは14382円だった。

 後場は14400円を越えて始まってもあっさり下落し14300円も割り、30分で14216円まで急落。アメリカの政府機関一時閉鎖で4日の雇用統計発表が延期されそうだというニュースが入りドルは一段安になった。午後1時台はさらに14159円まで下げる。その後は14200円台前半で推移していたが、2時台に再び14200円を割り、2時40分に14114円の最安値をつける。大引け間際に戻して終値は314.23円安の14170.49円で反落。消費増税決定に対する市場の回答はまことに強烈だった。TOPIXは-18.28の1175.16で4日続落。売買高は29億株で30億株に届かなかったが、売買代金は2兆4059億円に増えた。

 値上がり銘柄205に対し値下がり銘柄は東証1部全体の86%を占める1502。それでもプラスのセクターは情報・通信、電気・ガスと2つあり、マイナス幅が小さいセクターは鉱業、医薬品、金属製品、空運など。マイナス幅が大きいセクターは非鉄金属、その他金融、精密機器、繊維、証券、倉庫などだった。

 日経平均採用225種でプラスは8銘柄だけ。+33円でプラス寄与度トップのソフトバンク<9984>は携帯電話の加入者約6万件の信用情報機関への誤登録が明るみに出たが、お構いなしに朝から2254億円売買され、日経平均をプラスで支え続け280円高で値上がり率15位。アリババのNY上場の話がいまだに買い材料だ。新型iPhone商戦はNTTドコモ<9437>の「品薄で苦戦、一人負け」が伝えられ、KDDI<9433>も30円上昇してプラス寄与度2位だった。ドコモは20円安。マイナス寄与度のほうの1~3位は1550円安のファーストリテイリング<9983>、275円安の京セラ<6971>、460円安のファナック<6954>で、合計で日経平均を100円も押し下げていた。

 金融も輸出関連もディフェンシブ系も総崩れ。60円安のトヨタ<7203>は消費増税後を想定して主要な取引先に「来年は国内生産台数が300万台減る」と伝えたという。9月はアメリカ市場で健闘し13%増の富士重工<7270>でさえ31円安。自動車の買取・販売のガリバー<7599>は8月中間期の業績見通しの上方修正を発表し、営業利益は前年同期比2.3倍の36億円になった模様と発表し5円高になっていた。

 数少ない上昇組では、汚染土壌の調査・処理のダイセキ環境ソリューション<1712>は今期の経常利益見通しを67%増に上方修正し122円高で値上がり率7位。ジェネリック医薬品の日医工<4541>はバイオ後発薬を韓国に生産委託するというニュースがあり11円高。GSユアサ<6674>はUBS証券が目標株価を引き上げて23 円高で値上がり率18位。キューピー<2809>からミネラルウォーター事業を買収するアサヒGHD<2502>はSMBC日興証券が新規で好レーティングをつけて16円高になっていた。キューピーは18円安。マザーズでは「オートファジー」について7日発表のノーベル医学・生理学賞期待があるタカラバイオ<4974>が76円高と気を吐いていた。

 国土交通省の羽田空港の国際線増枠の方針が伝えられ、JAL<9201>の5便に対しANAHD<9202>は11便と優遇。JALは100円安でもANAHDは1円安にとどまった。前週は海外M&Aのニュースが続いた東レ<3402>は、9月中間期の営業利益が15%増ながら従来の業績予想を下回りそうだという観測記事が出て23円安だった。

 この日、明暗が分かれたのが人気のゲーム関連銘柄。任天堂<7974>は7年前に発売され最近は販売数が落ちていた「Wii」を近く生産終了させると報じられ300円安。旧勢力は、リストラ策で大阪の拠点を閉鎖し正社員を削減するグリー<3632>が25円安で年初来安値を更新し、DeNA<2432>もシティグループ証券が目標株価を引き下げて42円安と元気なし。スマホゲームの不発などで今期、上場以来初の営業赤字が見込まれるミクシィ<2121>は19円安で年初来安値を更新した。その中で、「魔法使いと黒猫のウィズ」が800万ダウンロード突破と絶好調の新勢力コロプラ<3668>の216円高が目立っていた。ボロボロの東京市場にもその魔法をかけてほしいところ。(編集担当:寺尾淳)