福島でコメ作り 吉野家の復興支援の形   

2013年10月06日 12:20

 吉野家ホールディングス<9861>は、10月1日、福島県と白河市の協力により、同県白河市に農業生産法人「吉野家ファーム福島」を設立した。

 同社は、吉野家で使用する食材の安全性を追求し、吉野家の食材について自社生産が可能な分野はないかを検討した結果、今回、福島県の支援を受けながら協力農家と連携し「吉野家ファーム福島」を設立することができたとしている。

 福島県は全国第3位の広大な県土とバラエティに富んだ気候条件、首都圏に近く、かつ発達した交通網など、農業経営には恵まれた県である一方、農業の担い手不足から耕作放棄地が全国で最大と最も多くなるなどの課題を抱えている。

 今回、吉野家は、地域の協力農家と共に、新たな地域の担い手となるべく農業生産法人を設立、この耕作放棄地も最大限活用し、2009年より活動している「吉野家ファーム神奈川」での野菜やコメの栽培で得たノウハウを活かして、安定的な農産物の確保を実現していく予定だという。

 「吉野家ファーム福島」は、まず野菜加工センターを4.3ヘクタールの農場面積で14年4月から稼働させる。吉野家をはじめとした吉野家ホールディングスグループ各社で使用するコメ、玉ねぎ、白菜、キャベツ、青ネギなどをこの工場で加工する。また、17年度には約13ヘクタールまで農場面積を拡大する計画しており、同年度のコメの収穫35トンを目指している。これは現在の吉野家の年間コメ使用量の約0.1パーセントに当たる。工場では地域雇用を行い、東日本大震災の復興支援にもつなげていきたいとしている。
 
 農産物の安全確認については、福島県による緊急時環境放射線モニタリングやコメの全量全袋検査及び出荷団体等による自主検査によりその安全性は確認されているという。それに加えて、「吉野家ファーム福島」から出荷する各種野菜、コメの自主検査等については、現在検討中であり、検査結果の公表方法等についても、来年春の加工センター稼働時に発表する予定。(編集担当:久保田雄城)