NYダウは136ドル安で再び15000ドル割れ。週が明けてもワシントンの与野党協議に何も進展がなく、連邦政府機関のシャットダウン(閉鎖)継続中。他の民主主義国なら解散・総選挙で民意を問うような事態だが、アメリカ合衆国憲法では大統領に連邦議会の解散権が与えられていない。8日朝方の為替レートはドル円が96円台後半、ユーロ円が131円台前半で、ドル売り円買いが止まらない。
年に1度の「学問のお祭り」ノーベル賞発表ウィーク初日のノーベル医学・生理学賞では日本人研究者は受賞を逃し、日経平均は58.58円安の13794.74円と13800円を割り込んで始まる。前場は下値の模索を何度も繰り返しては安値を更新する展開。それでも午前10時30分すぎには13800円台に定着して前場は小幅安で終えた。後場は一転、おおむねプラスを維持して何度も13900円にタッチする堅調な展開。午後2時30分すぎには13900円台に定着していたが大引けではわずかに割り込んだ。それでも41.29円高の13894.61円で5日ぶりに反発し、暗闇に薄日が差したような1日だった。TOPIXは+2.55の1150.13で8日ぶり、10月で初めてのプラス。売買高は26億株、売買代金は1兆8954億円で2兆円の大台には届かなかった。
値上がり銘柄915に対し値下がり銘柄は727で、業種別騰落率は21対12でプラスが優勢だった。値上がりセクターは電気・ガス、海運、その他金融、証券、不動産、建設など。値下がりセクターは食料品、鉱業、空運、情報・通信、医薬品、石油・石炭などだった。
日経平均プラス寄与度トップにはファーストリテイリング<9983>が入ったが+19円。ソフトバンク<9984>とファナック<6954>はマイナス1、2位だったが合わせても-10円に過ぎなかった。先物よりは主力株への買いが広く入っての日経平均プラスだった。
メガバンクはスキャンダルの渦中のみずほ<8411>も含め揃って上昇。証券株は野村HD<8604>8円高、大和証券G<8601>12円高と復調。自動車大手では富士重工<7270>がトヨタ<7203>とハイブリッドSUVを共同開発するニュースが伝わり、富士重工は60円高、HV技術を供給するトヨタは40円安。ホンダ<7267>は1ヵ月で6万台以上の受注が入った新型フィット効果で下期の業績加速が見込まれ25円高だった。
シャープ<6753>は売買高2位、売買代金4位と取引は活発だったが1円安。ダイキン<6367>は海外のエアコン販売好調が伝えられ160円高。ATMのOKI<6708>は9月中間期で8期ぶりの復配観測で18円高。値上がり率6位に入った。ドル円が96円台の円高ではソニー<6758>の57円安、ファナックの80円安、キヤノン<7751>の25円安、コマツ<6301>の47円安もやむなし。三菱重工<7011>は石炭火力発電の排ガス中の水銀を低コストで除去する技術を開発したと報じられ15円高になっていた。
バルチック海運指数の上昇を好感され日本郵船<9101>が11円高、商船三井<9104>が5円高と上昇し海運は業種別騰落率2位に。NTTドコモ<9437>は9月の契約数純減過去最大のショックを引きずり24円安。KDDI<9433>は70円高だったが、ソフトバンクは60円安と反落した。東京電力<9501>は前日、菅義偉官房長官が分社化を否定して買い直され37円高で値上がり率12位。ピジョン<7956>はアメリカで哺乳瓶の販売シェア10%を目指すと報じられ75円高。ファミリーマート<8028>は8月中間期の純利益が過去最高で75円高。無謀と思えた大量出店戦略は効果をあげている。
ノーベル賞医学・生理学賞が取れなかったバイオ関連はナノキャリア<4571>が112億円を海外での公募増資などで調達すると発表し希薄化懸念で4.17%の大幅安。タカラバイオ<4974>は72円安。医学生物学研究所<4557>は123円安、コスモバイオ<3386>は535円安で、ともに一時ストップ安。山中伸弥教授が受賞した昨年とは大違いで、マーケットはあまりにも現金だ。チタン工業<4098>は委託保証率50%の信用取引規制を受けて32円安で値下がり率トップ。東証は藤嶋昭東京理科大学長の9日のノーベル化学賞受賞が有力とみての措置だろうか。
この日、株価指数とともに復活したのが、東京五輪開催決定から数週間、ランキング表をジャックしていた建設・不動産関連銘柄。東急建設<1720>は5日ぶりに反発し58円高で値上がり率4位、熊谷組<1761>は18円高で同8位、売買高7位、デイシイ<5234>は51円高で同9位、大末建設<1814>は8円高で同10位。三井住友建設<1821>は6日ぶりに反発し4円高で売買高4位。半月ほど前は「またお前たちか」とウンザリもしたが、トンネルを抜けた日に帰ってくると「プラスの使者」のように見えてくるから不思議。不動産大手も住友不動産<8830>が85円高、三井不動産<8801>が25円高、野村不動産HD<3231>が48円高。大成建設<1801>は5円高。清水建設<1803>は宮本洋一社長がインタビュー記事で「五輪効果で1500億円増収」と答えて6円高になっていた。東京五輪までまだ7年もある。
電力ユーザーにコスト削減サービスを提供するエナリス<6079>がマザーズに新規上場。初値はつかなかったが公開価格280円に対して気配値は644円と人気は上々だった。
この日の主役は「電子商取引」。ヤフー<4689>が、ヤフーショッピング出店無料、ヤフーオークション出品無料という挑戦的な新戦略を打ち出した。収入は2割減とみられ37円安で値下がり率4位。だが子会社のバリューコマース<2491>は広告仲介事業の拡大が見込まれストップ高の300円高で年初来高値を更新し値上がり率トップになった。ライバルの楽天<4755>は158円の大幅安で、スタートトゥデイ<3092>は170円安で値下がり率5位になり、カカクコム<2371>は23円安と、ネット通販関連は軒並み安だった。新戦略はアマゾンが打ち出した「送料無料」と同様に、なし崩し的に業界のスタンダードになっていくのだろうか。(編集担当:寺尾淳)