【日経平均】14000円をたびたび割り132円安で3日続落

2013年10月04日 20:16

 NYダウは136ドル安で15000ドルの大台を割り込んだ。オバマ大統領と共和党幹部の会談も成果はなく、手詰まり。政府機関の一時閉鎖による雇用統計の発表延期が正式に発表された。財務省が、債務上限が引き上げられなければ米国債のデフォルトで深刻な金融危機を招く恐れがあるという報告書を発表し、中旬のデッドラインも意識され全面安。議事堂近くでは発砲事件も起きた。この混乱の最大の責任者は、「オバマ憎し」で意地を張る共和党ティーパーティーの議員を当選させた選挙区の有権者だろう。ISM非製造業景況指数は市場予想を大きく下回り景気腰折れ懸念も浮上。円が買われドル円は一時96円台になり、4日朝方の為替レートはドル円97円台前半、ユーロ円132円台前半だった。

 日経平均は127.52円安の14029.73円で始まるが14000円の大台は割りそうで割らない。しかし午前9時30分すぎからたびたび割るようになり、10時4分には13944円の安値をつけた。ザラ場の13000円台は東京五輪決定直前の9月6日以来で、五輪決定効果が吹き飛んだことになる。それでも14000円を下回ると数分で反発し底堅い。10時30分頃から徐々に切り上げ、前引けは14100円手前。麻生太郎財務大臣が法人税見直しについて「国際競争のためには考慮しないといけない」と発言したのが材料視された。日銀の金融政策決定会合の結果は政策は現状維持で、景気判断は「緩やかに回復」で据え置いた。

 後場は14100円をはさむ小動きが続いた後、午後1時45分頃から値を上げるものの利益確定売りの金曜日のせいか上値は重く、なかなかプラスにタッチできない。2時20分をすぎるとズルズル下落が始まる。その時、円高が急進してドル円が一時96円台になっていた。結局、14000円割れ手前で踏みとどまったが終値は3日続落。132.94円安の14024.31円で、1勝4敗、前週末と比べ735円の大幅安を喫して今週の取引を終えた。TOPIXは-10.17の1163.82で6日続落。売買高は23億株、売買代金は1兆8592億円で売買は盛り上がらなかった。

 値下がり銘柄1336に対し値上がり銘柄は348で4分の3にも達しない。東証1部業種別騰落率のプラスはその他製品の1業種のみで、マイナス幅が小さい業種は石油・石炭、卸売、医薬品、その他金融、食料品など。マイナス幅が大きい業種はゴム、保険、空運、パルプ・紙、金属製品、証券などだった。

 日経平均マイナス寄与度1、2位はソフトバンク<9984>とファーストリテイリング<9983>で、合計-56円で下落幅の42%を占めた。3日で740円、10.9%上昇と快走したソフトバンクもさすがに利益確定売りのブレーキがかかり260円安。プラス寄与度のほうは日揮<1963>とトレンドマイクロ<4704>が+4.33円で同率トップだった。

 主力株全面安の中で金融は三井住友FG<8316>だけが堅調で15円高。自動車ではダイハツ<7262>が消費増税前駆け込み需要を見込んで今年度の国内軽生産を1割増やすと報じられたが31円安。アメリカでシェールガスを利用する世界最大のエチレンプラントを受注と報じられた日揮は110円高の大幅高で値上がり率20位。2000億円超の大型案件で、化学プラント用ポンプを製造する日機装<6376>が63円高で値上がり率10位に入ったのは連想買いとみられる。同業の千代田化工建設<6366>はガボンの海底油田開発事業への参加を発表し17円高。曲げられる次世代のタッチパネルを台湾企業と共同で開発と報じられた日本写真印刷<7915>は82円高で続伸し値上がり率11位。トレンドマイクロは大和証券がレーティングを2段階引き上げたため110円高と人気化した。

 今期の6年ぶり復配の方針が伝わった長谷工<1808>は急騰し18円高になった。受注が増え今期の経常利益を20億円から33億円に上方修正し、最終損益が24億円の黒字に転換する熊谷組<1861>は売買高4位に入り6日ぶりに反発して6円高。新興市場のゲーム新勢力に買いが向かい、コロプラ<3668>は285円高で株式分割から7日目で株価を3000円に乗せた。その間の上昇幅は43%。ガンホー<3765>は3100円高だった。コロプラの時価総額3557億円はすでにグリー<3632>の2.16倍、DeNA<2432>の1.25倍で、業界再編の足音も聞こえそうだ。

 健保組合など福利厚生制度の支援サービスを行うバリューHR<6078>がジャスダックに新規上場し、公開価格2000円に対して1時23分、2倍以上の4035円の初値がついたが、終値は3345円だった。

 この日の主役は前日、2014年2月期の8月中間決算を発表した流通大手各社。セブン&アイHD<3382>は営業収益15%増。営業利益12%増、純利益25%増でともに過去最高益だった。強気の新規出店を進めるセブンイレブンは38%の増収で、PB「セブンプレミアム」が収益に貢献した。株価は一時90円高まで上昇したが終値は5円高。一方、ユニーGHD<8270>は営業収益1%減、営業利益28%減、純利益81%減と業績悪化。前期に完全子会社化したサークルKサンクスの既存店が競争激化で8月まで16カ月連続の前年割れと苦戦し、業績の足を引っ張った。自社株買い実施を発表したが、通期の純利益予想を下方修正したため株価は11円安で年初来安値を更新した。コンビニで大きな差がつくが、ユニーの中村元彦社長は「食うか食われるか、ここ1、2年が勝負」と話す。

 イオン<8267>グループ入りしたダイエー<8263>は営業収益3%減で、営業赤字は前年同期の15億円から41億円に、最終赤字は27億円から144億円に拡大した。衣料品が苦戦して採算が悪化したという。ダイエーは4円安。イオンは18円安。それと対照的に中・四国、九州エリアのイズミ<8273>は、決算の純利益が17%増の91億円と健闘しこの日、東京市場では254円高、9.12%上昇し値上がり率4位と買いを集めた。大手が苦戦するGMS(大型店)や大型ショッピングセンター「ゆめタウン」が主体だが、シニア層を掘り起こして高価格帯の食品や衣料の販売が好調で、店舗の作業効率を改善して人件費など販管費の上昇を抑えた。やればできるのだ。(編集担当:寺尾淳)