東京モーターショーに合わせてデビューする「新型ホンダ・オデッセイ」は“凄い”らしい。ホンダの公式HPで画像ほかが紹介されているが、初代から継承していた前ヒンジ式4枚ドアを止めたのがニュースだ。リアサイドドアが左右共にスライドドアになった。乗車定員も8名乗車仕様がスタンダードだ。オデッセイは“凄い”大変身を遂げたのである。
今回のティーザーキャンペーンで車両ディメンションを含めてスペックの一部が明らかになった。新型オデッセイのボディサイズは、全長×全幅×全高4830x1800x1695mmで、スポーティなアブソルートは4830×1820×1685mm。先代である4代目オデッセイが4800×1800×1545mmだから、ほぼ全高だけが大きくなった。ただ、写真を見る限り、非常にバランスのいいプロポーションに見える。率直に言って「カッコいい」ミニバンだ。
新型は、3代目、4代目でキープし続けた全高1550mm未満には、まったく拘泥していない。この手の「ミニバン購入者には“高めの全高”は問題ない。むしろ高さがあった方がいい」というホンダの判断なのか? 筆者は、都心やマンションの立体駐車場の全高規制値で、もっとも多い『全高1550mm未満』は有効だと思っていた。だが、しかし、それよりも全高がたっぷりあって『強面で偉そうなミニバン』達に4代目オデッセイは負けた。全高が低くてスマートで上品な旧オデッセイは日本人には『ミニバン』とは認められなかったのだ。
さて、新しいオデッセイが狙う仮想敵は先に述べた『強面で偉そうなミニバン』達だと思われる。が、最大のライバルはノーブルな顔が自慢のエスティマだろう。そのボディサイズは4815×1820×1745mmで、新型オデッセイにかなり近い数値なのだ。新型オデッセイの特徴は、両側スライドドアと高めのボディだが、真骨頂は室内寸法にある。エスティマの室内高は1255mm。対する新型オデッセイは1325mmだ。この70mmの違いは大きい。ホンダ自慢の低床設計が存分に活かされた結果といえる。室内高だけなら、トヨタの『強面で偉そうなミニバン』アルファードやヴェルファイアの1400mmにも迫る。Webサイトで公開しているスライドドアを開けたサイドからの画像を見ると後席の床の低さが良く判る。
搭載されるのは2.4リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンで、CVTと組み合わされるのも先代と変わらない。新型のグレード構成は、エアロパーツなどでスポーティに演出した「アブソルート」と、標準タイプの「G」。それにベーシックな「B」グレードの3タイプだ。アブソルートとGにはそれぞれ、セカンドシートに2名乗車のキャプテンシート仕様も設定している。
これまでのホンダ車の歴史を振り返ると、通例「失敗作」直後のモデルが「大ヒット」となる。ホンダの4輪事業を確固たるモノにしたシビックは初代のヒット、2代目の低迷、そしてハッチバック、シャトル、セダン、スポーツクーペ(CR-X)をラインアップした3代目が大ヒット作となった。アコードも同様で、初代のヒット、そして3代目のリトラクタブル・ヘッドライト・モデルが大ヒットした。オデッセイで言えば、初代の大ヒットに続いた2代目はキープコンセプトでやや精細を欠いた。3代目で車高を1550mm未満に抑えた独特のフォルムでヒットし、それを継承した4代目が低迷した。そして今回の新型である。ホンダ車は「大きくコンセプトを変えた」クルマがヒットする、ようだ。(編集担当:吉田恒)