軽NO.1「ホンダN BOX」への包囲網。迎撃態勢を整えた「ダイハツ・タント」、そして「スズキ・スペーシア」の対応

2013年10月14日 14:49

TANTO X

9月からティーザーキャンペーンで「新型ダイハツ・タント」のデビューをアピール。10月3日に発表・発売した。写真はX“SA”の2WDモデル。

 トールワゴン系軽自動車販売台数でトップを独走し続ける「ホンダN BOX」。リア・スライドドアの利便性と室内空間の広さが最大のポイント、各軽自動メーカーの主力モデルが参入し覇権を競っている激戦区である。この「ホンダN BOX」の独走にストップを欠けるべく、ライバルがモデルチェンジした。

 2013年9月からティーザーキャンペーンで新型のデビューをアピールしてきたダイハツは、新型軽自動車「タント」を10月3日に発表した。先代は、後席にチャイルドシートを設置して保育園などに子供を送迎する母親に、助手席側のセンターピラーの無いレイアウトが好評で、モデル末期でも月間1万台ほどの販売を維持していた人気モデルだ。しかし、センターピラーが無いことで、側面衝突時の安全担保に問題を残す可能性があり、「次世代タント、センターピラーレス構造は継続不能」という憶測が流れた。が、ダイハツの技術者は、見事にこの難問をクリア。「タントはセンターピラーレス」を守り、さらに先代では助手席側だけだった後席スライドドアを運転席後部にも設置して使い勝手を高めている。さらに、運転席や後席からでも助手席をスライドさせて後席へのアクセスをフォローする利便性の高さも自慢。その助手席のスライド量は従来比100mmアップの380mmとして、ベビーカーなどの積載に配慮した。

 このように基本的な利便性をアップさせながら重量増を避けるためにボンネットフードやフロントフェンダー、リアハッチドアなどを樹脂化して軽量化を図り、FF車の車重は先代と同等の920〜940kgにとどめたのがポイントだ。当然ながら軽量化は燃費性能にも貢献する。搭載するNA3気筒エンジンは52ps(38kW)の最高出力と6.1kg.m(60Nm)の最大トルクを発生。FF車のJC08モード燃費は28.0km/リッターを達成している。この結果、新型タント(FF車)は、エコカー減税の対象車となり自動車取得税と重量税が全額免除となる。

 グレード構成はL、X、Gの3種に安全装備が充実した“SA”のサブネームが付くモデルをラインアップする。“SA”シリーズはVSC(ヴィークルスタビリティコントロール:横滑り防止装置)やTRC(トラクションコントロール)、衝突回避支援システムの「スマートアシスト」などの安全装備が標準装備となる。

 このダイハツ・タントのティーザーキャンペーンに時期を合わせて、ライバルと思われるスズキ自動車のハイト系ワゴン「スペーシア」がタントの“SA”に相当する追加車種「レーダーブレーキサポート装着車」を全グレードに用意し、9月17日から発売した。

 スペーシアは、今年3月デビューの新型車にも拘わらず、来年義務化されるESP(エレクトロニックスタビリティプログラム:横滑り防止装置)などの最新の安全装備を設定していない車種だったが、その新型車に半年も経たないうちに追加された安全装備装着モデルの登場である。ホンダN BOX(2013年1〜8月販売実績「全軽自協調べ」:15万6033台)はもちろん、モデル末期の先代タント(同:8万9486台)にも販売で追いつけなかったスペーシア(同:5万7986台)。その追加・テコ入れグレードである。(編集担当:吉田恒)