ホンダのベストセラーモデル、フィットがモデルチェンジして3代目に生まれ変わった。すでにティーザーキャンペーンやプロトタイプの紹介、試乗記などで概要は分かっていたとはいえ、正式な資料と実車を見ると、その多彩なラインアップに驚かされる。
パワーユニットは3種類、1.3リッターi-VTECエンジン、1.5リッターi-VTECエンジン、そして1.5リッターi-VTEC+i-DCDハイブリッドだ。これに、トランスミッションの違い。つまり、1.3ガソリン車にはCVTと5速マニュアル、1.5リッターのスポーツモデルにはCVTのほかに6速マニュアルがラインアップされ、RSとハイブリッド車を除くモデルには4WDが選択できて、RS以外の車種では3種類のパッケージオプションがある。合計で19車型で、これに11色のボディカラーを組み合わせることとなる。
もうひとつのラインアップである車両価格も当然複雑で、ここでは簡単に触れることとする。1.3リッターガソリン車FFモデルは126.5万円〜156.0万円で4WDモデルは18.9万円高だ。1.5リッターガソリン車FFモデルは158.0万円〜168.0万円。4WD車は同じく18.9万円高。1.5リッターのスポーツモデルRSは180.0万円で6MT車/CVT車とも同価格。そして注目のスポーツハイブリッドを標榜するHVモデルは163.5万円〜193.0万円となる。
このラインアップのなかで、世界最高燃費JC08モード36.4km/リッターを達成するのは、フィット・ハイブリッドの最もベーシックな163.5万円のモデルだけである。パッケージオプションを装着する他のハイブリッドモデルは、JC08モード33.6km/リッターとなってしまう。なお、ハイブリッド車には現在のところFF車だけしかないが、積雪地域に対応するため、冬までに4WD車もラインアップに加わる予定だという。
今回、発表されたアコードに次ぐ第二弾スポーツハイブリッドi-DCDは、1.5リッターのアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンに1個のモーターを組み合わせる。モーターは7速DCTミッションに内蔵するコンパクトな構成。しかし、デュアルクラッチを組み合わせることでエンジンを切り離したEVモード走行が可能。減速の際にもエンジンを切り離して、電動サーボブレーキの採用で電力回生を効率的に行なう。また、エアコン用のコンプレッサーを電動とし、EV走行時やアイドルストップ状態でもエアコンを稼働させ、かつエンジンへの付加を軽減した。結果として、先代ハイブリッドシステムIMAに比べて35%以上の燃費向上となっている。この新型から走行用バッテリーはリチウムイオン電池となり、ここでも効率アップとコンパクト化が図られた。
新型フィットはハイブリッド車とその燃費に注目が集まりがちだが、1.3リッターモデル「13G」(126.5万円/FF・CVT車)でもJC08モード燃費26.0km/リッターという好燃費を達成。コストパフォーマンスを重視したクルマ選びは慎重に、ということだ。(編集担当:吉田恒)