【日経平均】好決算銘柄中心に売買2兆円を超え176円高

2013年10月30日 20:29

 NYダウは111ドル高と大幅反発し、9月18日の史上最高値を更新した。9月の小売売上高は減少し消費者信頼感指数も市場予想を下回ったが、FOMCが始まっても量的緩和の現状維持、長期化は確実とみられ株価は上昇。減益決算のアップルは下落したがファイザーの好決算、IBMの自社株買い追加が好感された。30日朝方の為替レートは、ドル円は98円台前半、ユーロ円は135円近辺で、前日よりも円安が進行した。

 取引時間前に発表された鉱工業生産指数は98.5で、前月比1.5ポイント上昇。このところの騰落が交互に来る順番で言えば「上がる日」の日経平均は138.69円高の14464.67円で始まる。TOPIXは1200台を回復。午前10時40分頃まで14450円前後の小動きが続くが、一段高になって14500円前後の水準で前場終了。後場も同じような展開で、為替も株価も動きが乏しい。それでも午後2時台になるとジリジリと値を上げて、大引けで5日ぶりに14500円をオーバーし176.37円高の14502.35円で終えた。日中値幅は101円と小さい。TOPIXは+11.00の1204.50。売買高は34億株、売買代金は2兆7213億円で、TOPIXのリバランスがらみで売買が伸びた。日経平均がプラスになった日で2兆円を超えたのはマイナーSQの10月11日以来だった。

 値上がり銘柄は1067で約6割を占め、値下がりは598。33業種別騰落率は29対4でプラスが優勢だった。プラス上位は海運、その他金融、証券、保険、金属製品、食料品など。下位はゴム製品、その他製造など。マイナスは鉄鋼、鉱業、空運、水産・農林だった。

 日経平均225種も185銘柄が上昇。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+35円。2位は、日経新聞に9月中間期の営業利益が7割増、7000億円で過去最高という業績観測記事が出て150円高のソフトバンク<9984>で+17円、3位は京セラ<6971>で+10円、4位は9月中間期の好決算の余波が続き100円高で3日続伸したKDDI<9433>で+7円だった。一方、ファナック<6954>は9月中間期の純利益が25%減と悪く380円安と大きく売り込まれマイナス寄与度トップの-14円。2位はアドバンテスト<6857>の-7円で、9月中間期で営業赤字を計上したのが響いた。

 メガバンクは日経新聞に「最終7割増益」という業績観測記事が載ったが、三井住友FG<8316>は65円高、三菱UFJ<8306>は7円高でも渦中のみずほ<8411>は2円高。「ギャングスターズ・ファイナンス」の問題はノンバンクに飛び火し、片棒をかついだオリコ<8585>は7円安、アイフル<8515>は14円安、アコム<8572>は10円安。11月5日からメガバンク3行が金融庁の立ち入り検査を受けるが、ノンバンク各社も戦々恐々だろう。証券は業種別騰落率3位と好調で、大和証券G<8601>の前日発表の9月中間期の純利益928億円は過去最高で33円高。野村HD<8604>は純利益1040億円が11年ぶりの高水準で10円高だった。

 自動車は為替の円安を好感され、トヨタ<7203>は商いを伴って上昇し売買代金1位で100円高。大引け後に決算発表を控えたホンダ<7267>は50円高で、日産<7201>は14円高、マツダ<7261>は3円高、三菱自動車<7211>は5円高。33円高の日野自動車<7205>は9月中間期の最終利益が395億円で前年同期の約2倍で過去最高。トラックの需要が伸びている。電機ではソニー<6758>は18円高。日立<6501>は9月中間期の営業利益が6%増だったが前場はマイナスに沈み終値1円高。オムロン<6645>は9月中間期の純利益が700億円を超え過去最高になり、通期見通しも上方修正して220円の大幅高で年初来高値を更新した。

 後場に決算発表を行った新日鐵住金<5401>は9月中間期は経常利益8.9倍と良かったが、通期見通しが市場予測に届かずマイナス圏に落とされ9円安。同じく後場に9月中間期と通期の経常利益を大幅上方修正した明治海運<9115>は、一時ストップ高の27円高で値上がり率13位。海運セクターを騰落率トップに押し上げていた。

 前日大引け後にJR上場3銘柄が揃って9月中間期決算を発表し、JR東海<9022>は通期の売上高、営業利益見通しの上方修正を好感され160円高、JR西日本<9021>も自社株消却を発表して40円高だったが、JR東日本<9020>は決算は悪くないのに売り込まれ170円安だった。なお、九州新幹線が好調なJR九州がIPOに意欲を見せている。

 JT<2914>は国内のたばこ生産を縮小し、4工場を閉鎖して人員削減も行うというニュースが伝えられリストラ好感で125円高。閉鎖工場の地元では「兜町は何を考えている」と怒りを買っているかもしれない。大日本住友製薬<4506>はiPS細胞を使った目の難病の再生医療に参入すると発表して61円高。2018年にも申請するという。iPS細胞関連銘柄として知られるが、いよいよビジネスが動き出す。セコム<9735>は9月中間期の営業利益が555億円で過去最高になり90円高になっていた。

 値上がり率ランキングでは、クレーンのタダノ<6395>が通期営業利益見通しを上方修正して増配も発表し191円高で4位。日本農薬<4997>は野村證券が投資判断を引き上げ116円高と買われ5位。大末建設<1814>は経常利益6.4倍の上方修正を好感され10円高で年初来高値を更新し7位。9月中間期の経常利益を85%上方修正した能美防災<6744>も61円高で年初来高値を更新し9位に入っていた。

 この日の主役は新興市場のスター銘柄。前週までは「東証1部不調、新興市場絶好調」だったが、この日は新興市場の有力銘柄が揃って絶不調に陥った。その代表的存在のガンホー<3765>はストップ安比例配分を喫し15000円安で18.82%下落。7~9月期が営業減益になり、気の早い兜町スズメは「パズドラ神話に陰りが見えた」とさえずり始めている。ゲーム関連が連れ安してコロプラ<3668>は280円安、バイオ関連のペプチドリーム<4587>は2320円安で、ともに大幅安だった。この日の東証マザーズ指数は5.73%の下落で、新興市場の銘柄は投資家が飛びつくのも速いが、逃げ足もまた速い。(編集担当:寺尾淳)