NYダウは61ドル安。朝方は10月のADP雇用統計が市場予測を下回ったのを〃好感〃して高かったが、予想通り「量的緩和策維持」というFOMCの結果が出ると材料出尽くし感で下落した。声明文から、景気に対する姿勢は弱気ではないという微妙なニュアンスも察知していた。雇用統計の発表は11月8日。GMは決算は減益でも市場予測を上回ったので上昇。31日朝方の為替レートは、ドル円は98円台半ば、ユーロ円は135円台前半で、前日よりも少しだけ円安が進んでいた。
順番では「下がる日」だが、9月30日の14455.80円を上回れるかどうか注目の日経平均は28.34円安の14474.01円で始まる。先物売りが入っても14440円で底を打ち、14400円台後半で推移。午前10時30分すぎに一時14450円を割り込むが前引けにかけて徐々に戻し、TOPIXはプラスで午前の取引を底堅く終えた。後場は開始後10分たらずで日経平均はプラスに浮上。日銀の金融政策決定会合の発表が出るのが遅く、「もしかして追加緩和か」と期待されたからだったが、午後1時14分に出た結果は金融政策現状維持で、為替は円高に振れ株価も下落した。谷は深く1時30分には14431円まで下落する。その後は14450円前後で動いていたが、午後2時40分頃に突然、先物の大口売りが入り90円以上一気に下げる急落発生。月末のドレッシング買い期待を吹き飛ばした。その後も下げ止まらず終値は174.41円安の14327.94円で、日中値幅は192円。9月末から127.86円下落して10月の取引を終え、10月のローソク足も陰線。TOPIXは-10.24の1194.26。売買高は28億株、売買代金は2兆384億円で、2日連続で2兆円を超えた。
値上がり銘柄508に対し値下がり銘柄は1143と65%を占めた。騰落率のプラスは鉱業、ガラス・土石、医薬品、水産・農林、電気機器の5業種のみ。マイナスは海運、パルプ・紙、証券、鉄鋼、倉庫、空運などだった。
日経平均プラス寄与度トップはカネボウ化粧品の自主回収問題で業績を12月期の最終利益予想を下方修正した花王<4452>で+4.32円。意外に悪くなかったという市場の評価で110円高になった。三菱UFJモルガンスタンレー証券が投資判断を引き上げたのも効いた。2位は日本ガイシ<5333>の+4.16円で、前日発表した9月中間期決算の経常利益が2.5倍、通期の経常利益見通しも24.1%上方修正して106円高。値上がり率10位に入った。同じ森村グループのNGKスパークプラグの日本特殊陶業<5334>も通期の経常利益上方修正と年間配当4円増配を発表して84円高だった。マイナス寄与度1位、2位はファーストリテイリング<9983>とソフトバンク<9984>。ソフトバンクは、7月に買収したスプリントの四半期決算は黒字だったが、その携帯電話加入者が純減で減収になった影響も受けて220円安だった。
メガバンクは全て下落し野村HD<8604>も24円安と反落。自動車も全面安で、アイシン精機<7259>が200円安、デンソー<6902>も通期の営業利益見通しが市場予測を下回って110円安になるなど自動車部品も軟調。電子部品の子会社ホンダエレシスを日本電産<6594>に売却と報じられたホンダ<7267>は通期の経常利益予想を下方修正したこともあり50円安。買収側の日本電産は430円高で年初来高値を更新した。
電気機器セクターは、大和証券が投資判断を引き上げた日立<6501>は15円高で売買代金1位。キーエンス<6861>は2350円高。アルプス電気<6770>は後場に通期業績予想を上方修正し38円高になった。しかし東芝<6502>は通期の営業利益見通しが市場予測を下回り23円安、NEC<6701>も減益決算を嫌気されて13円安だった。
騰落率ワーストの海運セクターは決算が嫌気され、日本郵船<9101>は通期業績見通しがアナリスト予想に届かず後場下げに転じて27円安で値下がり率6位、商船三井<9104>は通期営業利益見通しを下方修正し29円安で同15位、川崎汽船<9107>は8円安と、ともに売買を伴って下落した。
中外製薬<4519>はバークレイズが投資判断を引き上げて98円高で、富士フイルムHD<4901>は期末増配が好感されて74円高。一方、9月中間期が営業減益で通期見通しも配当見通しも下方修正したANAHD<9202>は10円安だった。ガンホー<3765>は3100円安で3日続落している。
値上がり率ランキング2位の日本トリム<6788>は1000円高のストップ高比例配分。変異遺伝子検出キットの成長予測を出した前日の決算説明会の評判が良かった。8位の江守商事<9963>は福井市が本社の電子部品、化学品の専門商社で、後場に通期業績見通しと期末配当予想の上方修正を発表すると114円高で年初来高値を更新した。
この日の主役はパナソニック<6752>。日経新聞では電池事業で早期退職を募集すると報じられたが、その電池事業でアメリカのテスラモーターズにリチウムイオン電池を供給するニュースもあり36円高。この日は約400社が決算発表を行う前半のピークで、大引け後に5円安だったシャープ<6753>、33円安だったソニー<6758>とともに9月中間期の決算発表を行い、前年同期は6851億円の赤字だった最終損益は1693億円の黒字で3年ぶりの中間期黒字になった。シャープの最終損益は43億円の赤字だが前年同期の3875億円から大幅に改善し、ソニーの最終赤字158億円(前年同期は401億円の赤字)より良かった。3社とも通期は最終黒字見通しで、兜町だけでなく日本全体を震撼させた「巨額最終赤字三兄弟」は、あれから1年が経過して汚名を返上しつつある。(編集担当:寺尾淳)