これまで全国で、原子力発電設置の見返りに寄付金、つまり国が定めた電源3法交付金を、設置する地域に、いわゆる「電力マネー」を電力会社は寄付してきた。
しかし、東京電力福島第一原発事故の影響を受け、電力会社各社の経営悪化が表面化、自治体への寄付金が重荷になってきた。それらの事情が端的に表れたのが今回の青森の寄付打ち切り問題であろう。
今回の打ち切りは、これまで、電力業界が続けてきた青森県自治体のうち、青森市など25市町村で、今年一杯で寄付金を打ち切るというもの。いわゆる電力マネーに頼っていた自治体は、寄付が打ち切られると、財政困難に陥るのは必至、県に財政支援を要請することとなった。
こうした寄付は、電力10社でつくる電気事業連合会と、日本原燃が、1994年度から実施しており、地元の祭りや、花火大会などの地域振興事業に当てられてきた。
青森県では、核燃料サイクル施設を受け入れる見返りとして、20年間の累計額約130億円の寄付を受けていた模様。それを県の公益法人「むつ小川原地域・産業振興財団」が分配し、5年ごとに更新してきた。
今年度は8億7200万円で、最終年度であった。電源3法交付金とは、原発などの発電所の設置や稼働を促進するため、1974年に制定された電源開発促進税法、特別会計法、発電用施設周辺地域整備法に基づき、国が自治体に支給する交付金。
電気料金に上乗せした税金が財源で、青森県内の自治体には、水力、火力に伴うものも含め、2012年度までに累計2519億円が支給されているのだ。10月28日には、県内10市の市長会と、県内30町村で作る町村会のトップクラスが三村知事を訪れ、新たな支援要請をした。
同県内の六ヶ所村には、電源3法による国の交付制度はあるが、対象外となる25市町村に電力業界の寄付が行われてきたのだ。県はそうした制度を進めてきた。ここにきて打ち切りにあったら、負担を県に求められるのは当然と言えよう。(編集担当:犬藤直也)