【日経平均】3連休前の手じまい売り多く126円安で続落

2013年11月01日 20:18

 NYダウは73ドル安で続落。10月のシカゴ購買部協会景気指数が65.9と異常に高く市場予想を大きく上回ったのを〃嫌気〃されて下落した。フェイスブック、エクスペディアは良くVISAは悪いなど決算はまちまち。一時プラスだったが月末のポジション整理、利益確定売りに押された。11月1日朝方の為替レートはドル円は98円台前半、ユーロ円が133円台半ば。ユーロ圏の9月の失業率が12.2%と過去最悪で、消費者物価指数(CPI)も4年ぶりの低水準だったためECBの利下げ観測が浮上しユーロが下落した。

 順番では「上がる日」の日経平均は75.13円高の14403.07円と買い先行で始まるが、一巡後は14300円台後半の水準が続き勢いは弱い。午前10時に中国物流購入連合会の10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され51.4、10時45分にHSBCのPMIの改定値が発表され速報値と同じ50.9で、ともに市場予想を上回ったが東京は反応薄。10時30分すぎにTOPIXから先にマイナスになり、日経平均も11時1分の14240円までズルズルと大きく下げていく。ひと休みした後も前場は14202円まで下げ、11月相場は先物主導で初日から荒れ模様になった。

 後場はさらに一段安。為替レートがドル円は98円、ユーロ円は133円を割り込むなど円高が進んだためで、日経平均は14126円まで落ち込む。やはり3連休前の金曜日は下げがきつい。しかも連休明けの5日に東証のカラ売り規制が緩和され、影響が見定めにくいのでとりあえず手じまいする動きもあったようだ。その後は14200円にたびたびタッチしながらそのたびに14100円台に押し下げられたが、終値は126.37円安の14201.57円。10月22日以来の上昇と下落が並ぶパターンが崩れて続落し、2勝3敗ながら前週末から113.38円上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは-11.23の1183.03。売買高は27億株、売買代金は2兆2447億円と膨らんだ。

 値上がり銘柄230に対し値下がり銘柄は1467の全面安で、プラスは石油・石炭、ガラス・土石、パルプ・紙、情報・通信の4業種。マイナス幅が小さいのは食料品、医薬品などで、大きいのは海運、その他金融、電気・ガス、証券、保険、陸運などだった。

 日経平均プラス寄与度1位は秋の主役、ソフトバンク<9984>で+29円。前日に9月中間期の決算を発表し純利益は市場予測を上回る84%増。孫正義社長は通期見通しについて「営業利益1兆円突破のメドが立った」と自信をのぞかせていた。2位は+3円で、中間期も通期も業績を上方修正し値上がり率15位の日本ハム<2282>が入った。マイナス寄与度1位は-17円のファナック<6954>、2位は-13円の京セラ<6758>だった。

 メガバンク、大手証券に上昇銘柄なし。自動車はトヨタ<7203>は30円安。マツダ<7261>は通期の営業利益見通しを大幅に上方修正したが4円安。ホンダ<7267>は15円高。大引け後に決算を控えたスズキ<7269>は19円高と期待されていた。後場、噂で株価が動いたのが日産<7201>と三菱自動車<7211>。ウォールストリート・ジャーナルが、日産のカルロス・ゴーンCEOが韓国のソウルへの出張を急きょ取りやめ決算発表を11月5日から1日に繰り上げたのは「重大発表を行うため」と報じて日産の株価がまず下落。その話に「三菱との提携話だろう」という尾ひれがついて三菱自動車の株価が急騰した。終値は日産は21円安、三菱自動車は55円高。5時30分からゴーンCEOが記者会見し、明らかにしたのは新しい役員人事。大山鳴動してネズミ一匹、だった。

 前日大引け後に決算発表を行ったシャープ<6753>は、通期最終黒字の見通しで3円高、売買高1位と買われた。パナソニック<6752>はリストラ効果を見込んで上方修正した通期見通しの最終黒字1000億円が評価され61円高で値上がり率16位、売買代金4位。決算を見てソニー<6758>を売ってパナソニックを買う動きもあったようだ。華々しかったのが値上がり率2位のセイコーエプソン<6724>で、400円高ストップ高比例配分で年初来高値更新。インクジェットプリンターが好調で9月中間期の営業利益は340億円で当初計画の130億円も市場予測の200億円も大きく超え、ポジティブサプライズになった。通期の営業利益見通しも上方修正。下期の想定為替レートはドル円95円、ユーロ円125円で「まだ上振れ余地あり」とみられたこともサプライズに輪をかけた。

 東京電力<9501>は9月中間期で1416億円の経常黒字を計上。中間期では3年ぶりの黒字で12円高。住友重機械工業<6302>は業績の上方修正を好感され33円高で値上がり率13位。TOTO<5332>は通期の営業利益を上方修正し年間配当の6円増配見通しも出して63円高。アステラス製薬<4503>は後場に自社株買いを発表し株価がマイナス圏から急浮上して60円高になった。一方、通期の経常利益見通しを12%下方修正したナブテスコ<6268>は256円安で値下がり率11位になり、通期の税引前利益を12%下方修正したマキタ<6586>は350円の大幅安。3Dプリンター関連のJBCCHD<9889>は業績見通しを下方修正してストップ安の150円安で値下がり率1位。テーマ株は業績が悪化すると失望売りがきつくなる。

 新興市場に買い戻しが入り、ペプチドリーム<4587>は1150円高、アドウェイズ<2489>は130円高、サイバーエージェント<4751>は500円高。しかしガンホー<3765>は1200円安と4日続落し、コロプラ<3668>も91円安と安かった。

 この日の主役はソニー。売買高4位、売買代金2位で-11.13%下落して値下がり率10位の209円安と売り浴びせの一日。日経平均マイナス寄与度も-8円で3位だった。前日発表の9月中間期決算は、前年同期比で売上高11.8%増、営業利益40.0%増でも、最終損益は158億円の赤字。前年同期の401億円の赤字より良いが「シャープより最終赤字が3倍以上も多いのはなぜだ」というネガティブサプライズだった。スマホは好調でも、年間販売見通しを100万台下方修正したテレビもデジカメもパソコンもビデオカメラも全て悪く、映画事業も不振だった。さらに、通期見通しを売上高は前回予想から2000億円減の7兆7000億円に、営業利益は600億円減の1700億円に、最終利益は200億円減の300億円に下方修正しては急落も仕方なし。平井一夫社長が10月に「アベノミクス効果で売上が好調に推移している」と話した4Kテレビで消費増税前の駆け込み需要を取り込めなければ、ソニーは前期同様、資産売却で最終黒字を捻出することになるのだろうか。(編集担当:寺尾淳)