近頃、新築住宅ではとくに太陽光発電を導入するケースが全国的に増えている。これは言うまでもなく、東日本大震災以降、全国的に節電意識が高まっていることが大きな要因だが、この秋から年末年始にかけて、さらに住宅用太陽光発電の需要が加速しそうだ。
その理由として挙げられるのが、来年4月からの施行が決定している消費税の増税だ。今回の消費税増税において、政府では駆け込み需要後の冷え込みを懸念して、住宅ローン減税などで対応する方針を明らかにしているものの、2015年にはさらに10パーセントに増税が予定されていることもあって、「どうせ購入するなら今の内に」という考え方が主流になっている。
さらに、ここにきて、経済産業省資源エネルギー庁が2013年11月5日に、同省が行っている「住宅用太陽光発電導入支援補助金」(住宅用太陽電池補助金)の申し込みを2014年3月末で締め切ることを発表したのだ。この制度を取り仕切っている、資源エネルギー庁新エネルギー対策課によると、2009年度にはじまった住宅用太陽電池補助金制度は当初より5年間の時限措置であるとし、2014年度の概算要求としては提出していないという。
つまり、来年1月から始まる予算審議で議論にのぼらなければ、この補助金制度は廃止になる見通しだ。しかも、必ずしも期間いっぱい受け付けてくれるとは保障されておらず、受付期間内であっても、予算残額の超過が明らかになった時点で即時受付を終了すると明言している。
ちなみに、矢野経済研究所が9月に公開した「国内太陽光発電システム市場に関する調査結果 2013」によると、住宅用太陽光発電システム市場が前年度比114.2%の7,046億円となっており、とくに新築住宅への搭載率の上昇により2020年度まで拡大基調で推移すると予測されている。また、住宅金融支援機構の調査結果では、新築一戸建てを購入する世帯で太陽光発電システムを購入する割合は23.3%にのぼるという。
太陽光発電の補助金がなくなれば、実際にどのような影響が考えられるのだろうか。また、住宅メーカー側では何か対策を用意しているのだろうか。
中堅の住宅メーカーとして東京から広島まで広く事業を展開しているアキュラホームの営業担当者に話を聞いてみたところ、やはり多少なりとも影響はあると見ており、国に対して「住宅用太陽光発電導入支援補助金」に替わる新しい制度を期待したいとしながらも、太陽光発電は補助金制度を差し引いても経済的メリットは高く、需要はそれほど落ちないと見ているようだ。年々製品の性能は良くなりながら価格は下がっており、今後もさらによい製品が出てくるとみている。
太陽光発電の経済性を考えた場合、補助金があってもなくても搭載した場合の将来的なメリットは大きいのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)