3日、大手電機メーカーの日立製作所<6501>とアメリカのジョンソン・コントロールズ(JCI)は、来年中に合弁会社を設立することで合意し、空調分野の売り上げ規模において世界トップを目指すと発表した。取得金額は非公表で、日立アプライアンスの日本国内での販売・保守部門と一部の資産を除いたグローバル空調システム事業の株式60%をジョンソン・コントロールズが取得する。今後は経営目標や体制といった詳細の決定を行い、2014年には新しい会社を設立する予定だ。
日立製作所の中西宏明社長は3日にワシントンで記者会見を行い、「事業のボリュームを出来る限り膨らませ、業界での地位は高い方が望ましい。両方の会社の技術力を合わせて、グローバルなトップメーカーとなる企業を作り上げたい」とコメントした。
日立製作所としてはそうしてジョンソン・コントロールズと新しい会社を設立することで、ジョンソン・コントロールズの持つ世界での販売網と、自社の技術力を合わせ、空調事業の拡大を図る狙いがあるようだ。そしてジョンソン・コントロールズとしては、日立製作所と組むことで、日本やアジアでの販売・保守の強化にもつなげたい考えがあるようだ。
日立アプライアンスの空調システム事業の売上高は約2800億円。ジョンソン・コントロールズの空調を含めたビル設備や関連サービスなどの売り上げは150億ドル(約1兆5400億円)。
日立製作所は09年3月期に7873億円の連結最終赤字を計上して以来、各事業を世界トップクラスに引き上げるための再編成を進めており、これまでにハードディスク駆動装置(HDD)や中小型液晶パネル事業を切り出した以外に、来月1日には三菱重工業<7011>と火力発電システム事業の統合も行う。そして世界のトップと競うことの出来る事業をグループ内に残しつつも、大きな収益の見込めない事業に関しては分離を行うなどの方針を打ち出している。
今回の合弁会社設立も、その再編成の一環とみられる。日立アプライアンスは、今後も国内での空調の販売、保守サービスは継続し、また白物家電事業も引き続き行う。日立アプライアンスで働く従業員約1万8000人のうち、ほぼ半数が合弁事業の対象人数となっているが、これらの従業員を新しい会社に異動、再配置するかどうかに関しては、これから協議が行われる模様。(編集担当:滝川幸平)