韓国の防空識別圏拡大は、新たなる火種にはならない?

2013年12月19日 09:22

 先月、中国が突然防空識別圏を設定し、そこに自国の領土が含まれていたことで、日本と韓国が猛反発した。その後、韓国も防空識別圏を拡大するとしていたが、それが現実となった。

 菅官房長官は、今回、韓国国防省が発表した防空識別圏拡大に関して「わが国との関係で、直ちに問題になることはない」と述べて、問題視しない考えを明らかにした。政府高官によると、韓国側から日本政府に対し、事前説明があったという。

 菅官房長官は、防空識別圏に関して、「国際法上の一般原則である公海上空の飛行の自由を不当に侵害することにつながらないことが重要だ」と指摘。「事前に日韓間で意思疎通を図り、こうした考えを韓国側に伝えた」と明らかにしている。

 また、中国の防空識別圏設定との違いについて、日本の領土、領空、領海の範囲に設定されていないこと。民間航空機に新たに義務を課すものではないこと。自衛隊、韓国軍の間で航空機の偶発的な事故防止のための事前通報の枠組みが確立、機能していることなどを挙げている。菅官房長官は「韓国の決定は、先般の中国による防空識別圏の設定に対抗して取られたと理解している」とも語っている。

 今回、韓国と中国が管轄権を争っている離於島上空を防空識別圏内に韓国が入れたことに対して、上記の通り日本政府は特に問題にはしない構えのようである。米国も東アジアの関係をこれ以上悪化させたくないと考え、12月初旬からバイデン副大統領が日本、中国、韓国を訪問して各国首脳と調整を行ってきた。その上で、韓国の防空識別圏拡大を容認したことを明らかにしている。
 
 しかし、なんといっても離於島周辺空域は、これで日中韓の3カ国が重複する防空識別圏となった。事態を楽観するのは、やはり禁物ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)