10月の百貨店売上高マイナスも、外国人観光客の消費は好調

2013年11月25日 07:38

 日本百貨店協会によると、10月の百貨店売上高は4907億円で、前年同月比マイナス0.6%となった。このところ好調が続いていた百貨店業界だが、売上は3か月ぶりに前年度実績を下回った。

 10月は中旬まで高い気温の日が続き、約4割の売上シェアを占める衣料品の動きがにぶった。秋・冬物衣料はマイナス4.2%と低調。そのうえ大型の台風が3度も接近・上陸し、多くの店舗では入店客数が減少した。
 
 一方で首都圏を中心に、高級時計や宝飾品などの高額品は相変わらず好調だ。「美術・宝飾・貴金属」は前年比プラス19.7%、ブランド小物など「身のまわり品」はプラス1.6%。特に東京地区では「美術・宝飾・貴金属」が26.8%と大幅に増加。10か月連続で二桁増を続けている。その要因のひとつは、訪日外国人の増加にある。百貨店協会が外国人観光客の購買動向を分析したところ、ハンドバッグや靴、高級時計などの有名ブランドに人気が集中していた。

 高額消費に支えられ、三大都市圏の百貨店売上高は前年同月比プラスが続いている。大阪は5.7%のプラスと、先月に引き続き全国で最も伸び率が大きかった。大阪以外の都市では、東京(+1.2%)、名古屋(+2%)、札幌(+0.5%)だけが前年度実績を上回った。こうした都市の売上に、訪日外国人のブランド物消費が寄与した側面は大きい。一方で、観光客の恩恵を受けにくい地方百貨店は軒並みマイナス。中でも神戸や広島は、約7%も前年度実績を下回った。東京・大阪・名古屋が好調だったのに対し、それ以外の都市や地方百貨店が振るわなかったために、全体としては売上高がマイナスになった形だ。

 訪日外国人については、今年7月にビザが免除・緩和された東南アジアからの観光客が好調だった。中国人観光客も「国慶節休暇」を機に回復しつつあり、売上・客数ともに前年比2倍以上の伸びを見せている。彼らの消費意欲は旺盛だ。都市部の百貨店はしばらく、「外国人観光客頼み」が続くかもしれない。(編集担当:北条かや)