7日のNYダウは105ドル高。11月の貿易収支の赤字が市場予測を超えて縮小し4年ぶりの低水準になり、一時は史上最高値まであと26ドルに迫った。7日朝方の為替レートは、ドル円は104円台後半、ユーロ円は142円台前半で、前日比でドルが少し高くなった。
日経平均は129.31円高の15943.68円で反発スタート。午前9時21分に15906円まで下げたものの15900円は割り込まずにもみあい、上海も香港もプラスになり10時43分に16000円にタッチ。前場は15978円で終えた。ドル円レートが105円に接近し、後場開始直後には16000円台に乗せ、午後1時台には少し割り込む時間もあったものの16000円ラインの少し上で水平飛行。2時台になると機首を少し上げ、ドル円が105円にタッチした大引け直前にグンと上昇して16100円を突破。終値は307.08円高の16121.45円で高値引けし、6日、7日合計の下落幅476円を64%取り戻した。日中値幅は215円。TOPIXは+22.98の1306.23で1300台を回復し、こちらも高値引けで昨年来高値を更新した。売買高は30億株、売買代金は2兆4832億円で11日連続で2兆円を超えている。
東証1部の値上がり銘柄は1581で全体の88.9%を占め、値下がり銘柄は140。それでも業種別騰落率では食料品1業種がマイナスだった。プラス業種上位はその他製造、証券、機械、金属製品、電気機器、建設など。下位は水産・農林、その他金融、鉄鋼、陸運、石油・石炭などだった。
日経平均採用225種は値上がりが213銘柄で値下がりは11銘柄のみ。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>、2位はファナック<6954>で、合計で日経平均を50円押し上げた。マイナス寄与度1位は85円安のJT<2914>で寄与度-3円、2位は13円安のキリンHD<2503>で、食料品セクターを唯一の下落業種にさせた。
金融・証券は後場に買いが入り、みずほ<8411>は8円高で昨年来高値を更新し、三菱UFJ<8306>は15円高、三井住友FG<8316>は70円高。足利HD<7167>は一時ストップ高の56円高で値上がり率8位、売買高13位に入り、4連騰で上場来高値を更新した。野村HD<8604>は後場に売買を伴って上昇し36円高で売買高2位、売買代金1位という大商いだった。
自動車株は日産<7201>39円高、ホンダ<7267>50円高、富士重工<7270>は76円高で上場来高値更新。しかしトヨタ<7203>は取り残されたように30円高にとどまった。三菱自動車<7211>は公募増資と売出しで2416億円を調達し三菱グループ各社が引き受けた優先株を買入処理すると発表し、下落は承知の45円安で値下がり率5位。復配を目指して再建計画はいよいよ最終段階に入った。ソニー<6758>は「PS4」にゲームを配信するというニュースがあり25円高。シャープ<6753>が売買高4位と買われ8円高だったが、東芝<6502>が売買高3位、売買代金9位で17円高、日立<6501>が売買高7位、売買代金5位で27円高とインフラ輸出テーマの「重電の日」になった。重電5位の明電舎<6508>はSMBC日興証券が目標株価を引き上げ、57円高で昨年来高値を更新し値上がり率3位に入った。
機械セクターもインフラ輸出期待で、エルドアン首相が来日したトルコへの原発や鉄道車両の輸出が見込まれ揃って大きく上昇。「旧・東証特定銘柄」の三菱重工<7011>は36円高で売買高6位、売買代金8位。川崎重工<7012>とIHI<7013>はともに24円高で昨年来高値を更新した。中国市場が反発しコマツ<6301>は58円高、日立建機<6305>は81円高。ダイキン<6367>は140円高で、クボタ<6326>も41円高になった。
生産の国内回帰を進めて5割まで引き上げるキヤノン<7751>は55円高。円安の長期化を見込むだけでなくアジアの人件費が将来にわたって高騰するのも理由という。そのアジアからの訪日観光客への利便性向上を図るために金融機関が自行ATMをアジア各国の金融機関と相互開放するというニュースがあり、関連があるNTTデータ<9613>は60円高、日本ユニシス<8056>は39円高。まず韓国、タイの銀行から始めるという。
値上がり率ランキングはこの日も「マグネシウム電池」関連銘柄とその「兄弟」で大にぎわい。藤倉ゴム工業<5121>は前場のマイナス圏から急反発し300円高のストップ高で値上がり率1位、売買代金10位に入り、藤倉化成<4620>も同7位。古河電池<6937>はストップ高の150円高で同2位に入った。電池関連の東証2部のFDK<6955>も50円高でストップ高まで上昇した。
中国でゲーム機販売が一部解禁という報道で任天堂<7974>は1540円高、10.76%上昇で昨年来高値を更新し値上がり率10位、売買代金6位に入り、その他製造のセクターを騰落率トップに押し上げた。ソフトバンク<9984>は大引け際に急騰し70円高、ヤフー<4689>は野村証券が目標株価を引き上げ50円高で昨年来高値を更新した。一方、良品計画<7453>は前日に3~11月期決算を発表し純利益が3割増の109億円と過去最高を記録したが、「通期見通しに対する営業利益の進捗率が低い」という理由で580円安、値下がり率2位と売り浴びせられた。ガリバー<7599>は2015年度の新卒採用数を3倍にすると発表し37円高。こんな大量採用企業が出てくると他社の人事部があわてだし、就職戦線は学生に有利になる。
この日の主役は前日、3~11月期決算を発表したセブン&アイHD<3382>。3日続伸して255円高の大幅高で昨年来高値を更新した。第3四半期決算は営業利益が9~11月期で23%の大幅増、3~11月期の通しでも15%増で、通期業績見通しは据え置いたが野村証券はレーティング「バイ」を継続し目標株価を引き上げた。PBの「セブンプレミアム」とセブンイレブンが大きく寄与している。昨年のヒット商品番付で東正横綱の「セブンカフェ」や「金の食パン」のような大ヒットを飛ばし、既存店売上高がプラスの上に1500店舗の積極出店。ライバルのファミリーマート<8028>は前日に経常利益5.1%増の第3四半期決算を発表し135円高、9日が決算発表のローソン<2651>は業績観測で5%の経常増益が見込まれ210円高でともに昨年来高値を更新したが、それがかすんでしまうほどの絶好調ぶりを示した。(編集担当:寺尾淳)