【日経平均】猫の目のように乱高下した末、94円安で続落

2014年01月07日 20:34

 6日のNYダウは44ドル安。ISM非製造業景況感指数が市場予測を下回り株価を抑えた。年末にかけて良好な経済指標が数多く出てNYダウを史上最高値まで押し上げる原動力になったため、少し悪い指標が出ると敏感に反応する。7日朝方の為替レートはドル円が104円台前半、ユーロ円が142円近辺で、ドル安方向への揺り戻しが続いていた。

 日経平均は73.47円安の15835.41円で安く始まり、猫の目のように乱高下。9時台は15900円まで戻したかと思えば15850円近辺まで下落し、プラス圏に急浮上して15935円まで行ったかと思えば15870円近辺まで下落した。10時台は10時20分に15800円を割り込んで15789円の安値をつけた後、15880円近辺まで回復。前場は15827円で引けた。後場は午後1時頃にプラス寸前まで上昇しながら15840円近辺まで押し戻され、さらに15800円を割り込んで1時46分に15784円の安値更新。2時台になってようやく落ち着いて変動はおおむね15800~15840円のレンジにおさまり、終値は94.51円安の15814.37円で続落。日中値幅は151円だったが、「荒れるSQ週の水曜日」が1日前倒しになったかのようなアップダウンの激しい相場だった。TOPIXは-8.90の1283.25。売買高は27億株、売買代金は2兆2097億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄451に対して値下がり銘柄は1219と2.7倍もあり、掛け値なしの全面安。値上がりセクターは空運、情報・通信、医薬品の3業種だけ。30業種の値下がりセクターで下落が小さいのはパルプ・紙、小売、ガラス・土石など。大きいのは保険、倉庫、食料品、海運、電気・ガス、その他金融などだった。

 日経平均採用225種は値上がり48銘柄、値下がり168銘柄。プラス寄与度1、2位はKDDI<9433>とソフトバンク<9984>で+18円、マイナス寄与度1、2位はファーストリテイリング<9983>とファナック<6954>で-22円という「四天王の2on2対決」。ソフトバンクはメリルリンチ、KDDIは野村証券が目標株価引き上げで味方していた。

 メガバンクは3行ともマイナスだったが12月上場の地銀の足利HD<7167>が30円高で上場来高値を更新し値上がり率10位になっていた。証券は野村HD<8604>は11円安。大和証券G<8601>も給与水準の3%以上の引き上げを検討と報じられ「4月に賃上げができるかどうかが勝負」と口にする安倍首相を喜ばせたが5円安だった。自動車のトヨタ<7203>は30円安で新年いまだエンジンがかからず、ホンダ<7267>も45円安。しかしスズキ<7269>は12月の軽自動車販売が前年同月比33.7%と好調で17円高。軽自動車増税への怨念がパワーに変わるか。電機はソニー<6758>が2円安で東芝<6502>も7円安と反落した。

 医薬品大手のアステラス製薬<4503>はアメリカのクリアパス社と共同のワクチン開発への投資を発表し60円高。大手ゼネコンの大林組<1802>は大和証券がレーティングを引き上げて2円高だった。中国市場が年明けからずっと不調で、コマツ<6301>は34円安と続落していた。

 HV、EV用バッテリーの新技術の開発を発表後、6日連続ストップ高という藤倉ゴム工業<5121>の異常人気にも終わりの日が来た。朝方に昨年来高値をつけた後に急落し154円安で値下がり率1位。それでも売買代金8位で三井住友FG<8316>よりも上だった。兄弟会社の藤倉化成<4620>は朝のストップ高から50円安まで連れ安し値下がり率4位。だが前日に藤倉ゴム工業に連れ高した古河電池<6937>は150円高で連日のストップ高比例配分で値上がり率1位。今度はこっちが古河グループの兄弟会社の東京特殊電線<5807>を巻き込み、17円高で昨年来高値を更新し値上がり率6位、売買高9位にさせていた。ランキング表では連日「兄弟仁義」を見せられる。個人投資家に人気の大豊建設<1822>はミクシィ<2121>とともに東証がこの日から信用取引規制を実施し42円安で値下がり率3位。ミクシィも980円、13.33%の大幅安になっていた。

 騰落率1位の空運セクターはJAL<9201>が10円高で、年末年始の搭乗者数が11.3%増のスカイマーク<9204>は25円高で値上がり率11位に入り5日続伸。保険セクターが騰落率最下位になった元凶は日本生命が20代で7%など生命保険料の値下げを発表したことで、生保の第一生命<8750>は8円高だったが東京海上HD<8766>が95円安になるなど、なぜか損保大手各社が軒並み安になっていた。値上げを好感されたのがタカラトミー<7867>で、後場に2月からのミニカー「トミカ」の23年ぶりの値上げを発表すると株価は上昇して9円高に。製造工場がある中国の人件費と原材料の亜鉛の価格が高騰しているためだという。「円安になっても値上げしない」と公言するイオン<8267>は値動きなし。トミカと並ぶタカラトミーの看板商品は「人生ゲーム」だが、人生いろいろ、会社もいろいろ。

 この日の主役は前日、日経平均プラス寄与度1位だったパナソニック<6752>。プラス圏で安定して一時は29円高まで上昇し、終値は16円高で6日続伸。昨年来高値を連日更新して売買代金14位に入った。7日からラスベガスで開幕の「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」を前に、アメリカのモジラ財団と新OS「ファイヤーフォックス」搭載の次世代スマートテレビの開発で提携したと発表。4Kテレビも昨年夏頃から販売が上向いている。

 社名変更前の松下電器は、東証に1982年まで存在し新聞の証券欄で別枠扱いされた「特定銘柄」だった。「経営の神様」松下幸之助氏の存命中のカリスマ性を知る高年齢層がNISA口座を開設して銘柄を選ぶ際、「リストラで腐っても鯛」で「松下さん」は特別な存在なのだろうか。同じく名門企業の日立<6501>は人気化した前日に続きこの日も5円高と続伸し昨年来高値を連日更新して売買高3位、売買代金2位。NISAが始まる今年は名門が復活し、リアルの逆襲ならぬ「コンサバの逆襲」の年になるかもしれない。(編集担当:寺尾淳)