【日経平均】値動きに奇妙な静寂感が漂い241円安と反落

2014年01月09日 20:31

 8日のNYダウは68ドル安。ADP雇用リポートは12月の民間部門雇用者数が23.8万人の高い伸びで市場予測の20万人を上回ったが、それに反応した長期金利上昇を嫌気して株価は下落。12月17、18日開催のFOMC議事録が公表され、FOMCメンバーの多くが債券買い入れ規模の縮小に慎重さを望み、縮小完了は今年下半期が妥当と考えていたと判明。量的緩和縮小ペースは緩やかになると予想されるがマーケットの反応は限定的だった。9日朝方の為替レートはドル円は104円台後半、ユーロ円は142円台前半で、前日夕方と変わらない水準だった。

 CME清算値16015円にさや寄せし、日経平均は118.57円安の16002.88円で始まり、すぐに16000円を割る。9時台は下げてもおおむね15900円台前半で推移したが、10時頃から15900円を割り込む。しかし15800円台後半で底堅く水平飛行。10時30分すぎに発表された中国の消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予測を下回り上海、香港市場は軟調で始まったが、日経平均は15900円台に乗せる。12月の東京都心部オフィス空室率は7.34%と改善し前引けは15914円だった。

 後場は前場の水準を引き継いで再開したが午後0時45分頃から下落して15900円を割り込み、1時36分に15838円の安値をつける。その後も15900円台に乗せられずに小動きが続き、250円安前後の大幅安でありながら奇妙な静寂感が漂う。大引けまで何も起こらず終値は241.12円安の15880.33円と反落。日中値幅は166円だった。TOPIXは-9.48の1296.75で日経平均より下落幅が小さく、NT倍率は12.24まで圧縮した。売買高は連日の30億株。売買代金は前日よりもさらに増えて2兆5447億円に達した。

 東証1部の値上がり銘柄は595とけっこう多く、値下がり銘柄は1025。業種別騰落率は海運、保険、医薬品の3業種がプラス。マイナスの30業種で下げ幅が小さいのは電気機器、電気・ガス、水産・農林など。大きいのは石油・石炭、食料品、不動産、その他製品、その他金融、鉄鋼などだった。

 日経平均採用225種は値上がり35銘柄、値下がり181銘柄。プラス寄与度1位は政府が新型インフルエンザ対策で富山化学の「T-705(ファビピラビル)」を備蓄すると報じられた富士フイルムHD<4901>で、117円高で昨年来高値を更新し寄与度は+4円。2位はソニー<6758>の+2円だった。マイナス寄与度1~4位は「四天王」が独占し合計-106円で下落幅の44%を占める。大引け後に決算発表を控えたファーストリテイリング<9983>は1550円安で値下がり率12位という有様でマイナス寄与度-60円だった。

 メガバンクは安く三菱UFJ<8306>は11円安、みずほ<8411>は2円安、三井住友FG<8316>は90円安。野村HD<8604>は1円安どまり。自動車大手は4円高と買い直された三菱自動車<7211>を除いて全面安になりトヨタは30円安で前日から「いってこい」。ホンダ<7267>は20円安。サスペンションなど足回り中心のホンダ系部品メーカーのエフテック<7212>は、公募増資261万株、売出し目的のみずほ証券への最大39万株の第三者割当増資を発表し希薄化懸念で165円安になり値下がり率1位だった。

 この日はラスベガスのCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)効果なのか、自動車に比べて出遅れた修正なのか、電機・ハイテク系銘柄の上昇ぶりがひときわ目立った。トルコの地熱発電プラントを30億円で受注と伝えられた東芝<6502>は15円高。東南アジアで企業向け基幹業務システムを格安販売するNEC<6701>は9円高で6日続伸、パナソニック<6752>は25円高で8連騰し昨年来高値更新。JAL<9201>にならって取締役室を大部屋にするシャープ<6753>は9円高、OKI<6703>は11円高で昨年来高値を更新した。新型4Kテレビの人気を当て込んでヤマダ電機<9831>まで連れ高して14円高。CESでアメリカのヤフーが「脱検索」を打ち出したヤフー<4689>は2円高。そのライバルの楽天<4755>は38円高でともに昨年来高値を更新した。