今週、1月第2週(1月14~17日)は13日が「成人の日」の祝日で休場し4日間の取引。14日はマレーシア、インドネシアなどイスラム圏諸国が「預言者マホメットの誕生日」で休場。17日もマレーシアはヒンズー教の祭日「タイプーサム」で休場する。
14日から東証の一部銘柄で「刻み値(呼値)」が変更される。対象は主力銘柄の「TOPIX100指数構成銘柄」で、株価3001~5000円は5円が1円に、5001~10000円は10円が1円に、10001~30000円は10円が5円に変わる。たとえば10日終値が3235円のキヤノン<7751>は5円刻みが1円刻みに、6290円のトヨタ<7203>は10円刻みが1円刻みに、16080円の任天堂<7974>は10円刻みが5円刻みに変わり、株価がより頻繁に変化するようになる。
国内の経済指標は、14日は11月の国際収支、12月の景気ウォッチャー調査、15日は12月のマネーストック、工作機械受注確報値、16日は11月の第三次産業活動指数、機械受注、17日は12月の消費動向調査(消費者態度指数)が、それぞれ発表される。16日には黒田日銀総裁が日銀支店長会議で挨拶し、日銀の「地域経済報告(さくらリポート)」が発表される。同日夜には芥川賞、直木賞の選考会がある。
主要企業の決算は、14日はサカタのタネ<1377>、タマホーム<1419>、ヤマダ・エスバイエルホーム<1919>、キャンドゥ<2698>、JIN<3046>、ドトール・日レスHD <3087>、住江織物<3501>、レナウン<3606>、市進HD<4645>、ユニオンツール<6278>、東洋電機製造<6505>、古野電気<6814>、サイゼリヤ<7581>、サマンサタバサ<7829>、アデランス<8170>、近鉄百貨店<8244>、松竹<9601>、大庄<9979>、16日はブロンコビリー<3091>、不二越<6474>、17日はティムコ<7501>、くろがね工作所<7997>、リーバイストラウス<9836>が発表する。なお、新規IPOは1月中は予定がない。
海外の経済指標は、13日はアメリカの12月の月次財政収支、14日はフランスの11月の経常収支、12月の消費者物価指数(CPI)、英国の12月の消費者物価指数(CPI)、ユーロ圏の11月の鉱工業生産、アメリカの12月の小売売上高、輸入物価、15日はユーロ圏の11月の貿易収支、アメリカの1月のNY連銀製造業景気指数、12月の卸売物価指数(PPI)、16日はドイツの12月の消費者物価指数(CPI)確報値、ユーロ圏の12月の消費者物価指数(CPI)確報値、アメリカの12月の消費者物価指数(CPI)、11月の対米証券投資、1月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、NAHB住宅市場指数、17日は英国の12月の小売売上高、アメリカの12月の住宅着工件数、建設許可件数、鉱工業生産・設備稼働率、1月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が、それぞれ発表される。
13日から26日まで、アメリカ・デトロイトで「北米国際自動車ショー」が開催される。15日にブラジル中央銀行が政策金利を発表し、アメリカではベージュブック(地区連銀経済報告)が公表される。17日に中国のチャイナモバイル(中国移動)がアップルの「iPhone」の取り扱いを開始する。
アメリカ主要企業の決算発表は金融大手の発表が佳境に入る。14日はJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、15日はバンク・オブ・アメリカ、16日はシティグループ、ゴールドマン・サックス、インテル、ノーザン・トラスト、チャールズ・シュワブ、17日はブラックロック、キャピタル・ワン、GE、モルガン・スタンレー、シュルンベルジェが、それぞれ発表する予定になっている。
1月の第2週は特定の個別株が買いを集め、昨年来高値更新銘柄が連日100を超え、昨年とはちょっと異なる新しい動きを見せていたが、先物主導の日経平均の変動がそれをマスクした1週間だった。証券コードの末尾から「01銘柄」「02銘柄」と呼ばれる業界を代表する大手企業や、32年前まであった「東証特定銘柄」に入っていた名門企業、誰でもその名前を知る有名企業の個別株がけっこう買われ、「なるほど、NISA(少額投資非課税制度)ではこんな銘柄が買われるのか」と思わせたが、全体的には日経平均寄与度の大きい「四天王」(ファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>、KDDI<9433>)や京セラ<6971>などの大量売買の前にかすんでいた。年が明けても海外の機関投資家の先物トレードはますます盛んで、この先が思いやられる。
ただ、為替と連動した日経平均先物の上昇が一段落した時、昨年の夏から秋にかけてであればズルズル下落するパターンが目立っていたが、今は「水平飛行」に移って値動きがあまりブレないパターンが多くなった。そんな日はTOPIXの終値の前日比の騰落が日経平均に比べて小さく、「株価のベースが底堅くなったな」と感じさせる。
それは芝居にたとえれば、「四天王」のような看板女優は才能に恵まれながら気まぐれで演技にムラがあっても、脇を固める日立<6501>やパナソニック<6752>のようなベテラン俳優が安定した渋い演技でそれをカバーし、舞台に一本、芯を通しているような感じだった。そんな渋いベテラン俳優的銘柄が、ギャラも株価も値がさの看板女優的銘柄を差し置いて長期保有が主体のNISAで手堅く買われていた。さらに、「マグネシウム電池」のような人気急上昇中のやんちゃな若手俳優的テーマ株が舞台に登場すると、黄色い歓声を浴びながら「兄弟分」まで連れてきてランキング上位でストップ高のシンクロダンスを披露。大手小売業の決算発表の明るい音色のシンフォニーがステージを盛り上げ、その一方で、金融株のように値動きが素直でなくひと癖もふた癖もある性格俳優的銘柄がスポットライトを浴びた時の存在感もまた、舞台に深みを与えていた。それが年明けの東京市場で、決して悪い芝居ではない。
さて、10日に発表されたアメリカの12月の雇用統計は、失業率が11月の数字(=市場予測)から0.3ポイント改善して6.7%に下がったが、非農業部門雇用者数が市場予測の19.7万人の4割以下の7.4万人しか増加しないというアッと驚くサプライズ。ただし、北米大陸を襲っている極地並みの大寒波という特殊要因を挙げ、11月の雇用者数の3.8万人の上積み修正、ADP雇用統計、新規失業保険申請件数などに着目せよという論調もある。はたして「悪化」と断じていいのかもわからず、NY市場への影響も推測しにくい結果になったが、アメリカの長期金利は急低下しており、為替レートはドル売り・円買いでドル円が下振れするのは覚悟しなければならないだろう。日経平均も為替を背景に下押しされると思われる。
とはいえ三連休明けの今週は、これといった大きなイベントも経済指標も大手企業の決算もない4日間。日中値幅はともかく、終値ベースでは急騰も急落もあまり起きず前週の続きになりそうだ。値がさ株以外の主力株の底堅さも続くだろう。前進と後退を繰り返すので、数字的なパフォーマンスは大納会で安倍首相が大トリを務めて締めた昨年末の破竹の9連騰のドンチャン騒ぎと比べると、物足りないかもしれない。
でも、それでいいのだ。今年はウマ年なので馬にたとえて言えば、「無事これ名馬」。昨年の5月23日のように、ニッケイヘイキン号が競馬場でぶっちぎりの快速で突っ走りコースレコードを樹立した直後、ガラスの脚を無残に複雑骨折して安楽死してしまったかのようなシーンは、もう見たくないはず。馬主ならぬ株主としては、そんな「ターフの伝説」なんかいらないから、無理せずケガせず4着でも5着でもコンスタントに賞金を稼いでくれればいいのである。
ということで、今週は雇用統計〃悪化〃の影響で為替レートこそドル円が1円ほど円高方向にズレるものの、一進一退の相場が続くと予想する。前週の「下値支持線」になっていた15800円からドル円の円高1円分350円程度を割り引いて15450円近辺を下限、大納会の終値16291円から350円程度を割り引いて15950円近辺を上限に、日経平均終値の変動レンジは15450~15950円とみる。
衝撃の雇用統計イベントを通過したNY市場は、28、29日のFOMCに向けて経済指標や大手金融企業の決算の数字でショックを徐々に癒していく週になりそうだ。今、都市全体が凍結状態のシカゴにある農産物先物・オプション市場に限らず、お天気が経済に影響するのは、よくあること。春が来れば「そんな出来事もあったな」で済むかもしれない。(編集担当:寺尾淳)