日産、ロンドン向けの新型タクシーを公開

2014年01月13日 17:53

 日産自動車<7201>は、ロンドン仕様のタクシーとして、今年中に市場に投入予定の車両を公開。伝統的なロンドンの黒塗りタクシー「ブラックキャブ」のイメージに合わせたデザインがなされており、既存2社によりほとんど寡占状態となっている市場に挑む形となる。

 すでに日産自動車は東京やニューヨーク、そしてバルセロナなどの都市にてタクシー車の供給を行っており、既存の多目的車「NV200」を基調としつつ、新しい型のガソリンエンジン車を開発した。

 2012年にも、今回のタクシー車は公開されていたが、しかしロンドンの運輸関係団体から、ロンドンのタクシーの象徴的存在である「ブラックキャブ」に似たデザインを求める声が出たことを受け、デザインを変更している。

 日産自動車のアンディ・パーマー副社長は、「日産自動車の新しい型のキャブは、運転手と乗客のどちらにとっても高レベルになるだけではなく、伝統的なタクシーとして一目見れば分かるような外観を施した」と説明している。

 日産自動車は、今年の12月にも最初のタクシー車を出荷できると見込んでいる。ベースとなる車両はスペイン・バルセロナの既存工場にて生産され、それをイングランドで改造する予定。しかしその作業は、必ずしも既存施設のあるサンダーランドでなくてもよいと考えているようだ。サンダーランド工場ではすでに、年間50万台以上の自動の生産がなされている。アンディ・パーマー副社長は、「作業量はいくらか増えるだろうが、詳細はまだ未定であり、それをどこで行うかも決まっていない」とコメントした。

 日産自動車はロンドンにて、既存のタクシーメーカーであるロンドン・タクシー以外に、「メルセデス・ヴィト」を生産するエコシティ・ビークルズと競合することとなる。ロンドン・タクシーは去年、中国の吉利汽車に買収されるまで「マンガニーズ・ブロンズ」として操業。そして年初時点で営業許可を得たロンドンの黒塗りタクシーの台数は、約2万3000台で、そのうち「メルセデス・ヴィト」が2177台、残りはロンドン・タクシー製の車であった。

 日産自動車の新型タクシーは、既存のディーゼルエンジン車と比べても環境に優しいこともあり、業界関係者の間では歓迎されるだろうとの予想がなされており、また、競合他社よりも低い価格帯になるのではないかとの予測もなされている。(編集担当:滝川幸平)