【日経平均】主力株は軟調でも154円高で4日ぶりに反発

2014年01月21日 20:32

 20日のNY市場は「キング牧師生誕記念日」で休場。本当の誕生日は15日。21日朝方の為替レートは、ドル円が104円台前半、ユーロ円が141円前半で、前日とほぼ同じ水準だった。

 安倍首相が24日開会の通常国会で法人減税の法案処理を先行させると示唆し、日経平均は69.21円高の15710.89円で始まり15700円台を割り込むことなく上昇。しかしTOPIXは1300の大台になかなか定着しない。日経平均のほうはドル円が104円台後半まで円安が進んだことで先物主導で15800円台にタッチ。麻生財務大臣が「法人税率引き下げには財政健全化の観点も必要」を安倍首相の発言に牽制球を投げたが、日経平均は意に介さず11時台には15850円を突破。上昇が鈍かったTOPIXも11時台には1300台に定着した。日経平均前引けは15872円だった。

 後場は午後0時42分に15894円と15900円に迫った後もずっと高値圏で推移していたが、2時台になると利益確定売りが入って下落。大引けで15800円を割り込んだが、終値は154.28円高の15795.96円で4日ぶりに反発した。日中値幅は189円。TOPIXは2時台に1300の大台を割り込み、終値は+2.09の1295.95。売買高は23億株だが売買代金は2兆609億円で2兆円の大台を回復した。

 値上がり銘柄791よりも値下がり銘柄842のほうが多く、業種別騰落率はプラス18業種、マイナス15業種。値上がり業種上位は海運、精密機械、食料品、ゴム製品、保険、パルプ・紙など。値下がり業種下位は空運、その他製品、銀行、金属製品、機械、電気・ガスなどだった。

 日経平均採用225種はプラス124銘柄、マイナス85銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+14円、2位はKDDI<9433>で+14円。マイナス寄与度1位はホンダ<7267>で-2円、2位は44円安のコナミ<9766>で-1円だった。

 与党が議員立法で10年以上出し入れのない「休眠預金」を公益活動の支援に使うための法案を通常国会に提出する話が出て、銀行界は容認姿勢。メガバンクはみずほ<8411>2円安、三菱UFJ<8306>5円安、三井住友FG<8316>75円安。野村HD<8604>は2円安だった。自動車も軟調で、ホンダ<7267>は27円安、マツダ<7261>2円安。三菱自動車<7211>に至っては53円安の大幅安で値下がり率14位。しかし豊田章男社長の東京五輪組織委員会副会長就任が最終調整に入ったと伝えられたトヨタ<7203>は94円高と大きく上昇した。五輪がらみではパナソニック<6752>はIOCのスポンサー契約を2024年まで8年延長することが決まったものの、シティグループ証券にレーティングを2段階も引き下げられては28円安。シャープ<6753>は売買高1位、売買代金2位に入り16円高。日立<6501>は7円高だが東芝<6502>は5円安だった。

 NEC<6701>はインターネット接続サービス「ビッグローブ」を投資ファンドに売却する件で最終調整に入ったと報じられ4円高。ビッグローブの前身の「PC-VAN」は2円高の富士通<6702>の「ニフティサーブ」とともにネット社会の草分け的存在だった。アルプス電気<6770>はゴールドマンサックスがレーティングを引き上げて「コンビクションリスト」に入れ、93円高で年初来高値更新。値上がり率11位。ゴールドマンサックスはヒロセ電機<6806>、インテル関連銘柄の新光電気工業<6967>のレーティングも引き上げたが、ヒロセ電機は370円高、新光電工は10円安だった。任天堂<7974>は下げ止まらず330円安。都知事選が近づいたためなのか「ニコニコ動画」のドワンゴ<3715>が買われて177円高で値上がり率14位に入っていた。

 オークマ<6103>はJPモルガンがレーティングを引き下げたため34円安。東京電力<9501>は2円安。関西電力<9503>は原発の再稼働が見通せず、3年連続赤字、今期無配の業績観測が出たが、その一方で高浜原発の2基の防潮設備が3月末に完成予定で大飯原発の2基と合わせて4基の原発の再稼働にメドが立ち、相殺されて値動きなし。原発関連の木村化工機<6378>がストップ高で80円高。値上がり率3位に入っていた。

 アステラス製薬<4503>は糖尿病薬で製造販売承認を取得したと伝わり104円高。 コスモ石油<5007>はスペインの大手石油資本CEPSAと提携して中東、南米で石油権益を取得するという報道があったが1円安。JR東海<9022>はリニア中央新幹線の建設工事に今年夏から順次着手するというニュースがあったが120円安。「付け鼻・金髪かつら」のCMが問題視されて修正するANAHD<9202>は、その問題とは無関係に国際線の単価下落リスク、燃料高騰を憂慮されてメリルリンチにレーティングを引き下げられ6円安。JAL<9201>も20円安で、空運セクターは騰落率最下位だった。ヤマダ電機<9831>はJPモルガンとUBSにダブルでレーティングを引き下げられ、14円安。

 前日にコンビニ主要10社の売上実績が発表され、12月の既存店売上高は0.3%減。2013年通年では全店売上高は4%増の9兆3800億円でも、既存店売上高は1.1%減。客単価0.2%減、既存店客数1%減。12月末の10社の店舗数は年末で49323店だったが、大手3社の大量出店の陰で競争の激化ぶりが浮き彫りになった。セブンイレブンのセブン&アイHD<3382>は35円高、ローソン<2651>は10円高、ファミリーマート<8028>は40円安だった。

 値上がり率1位は第一工業製薬<4461>で62円高。同5位で24円高の工作機械の滝澤鉄工所<6121>はロシアのKEMP社と業務提携を発表し、ロシア市場の開拓が見込まれにわかに材料視された。前日に今期業績見通しを発表し営業利益予想を19億円から26億円に上方修正したメルコHD<6676>は211円高で昨年来高値を更新し値上がり率6位。昨年10月に下方修正したが、消費増税前の駆け込み需要とコスト圧縮努力で採算が回復し見直し買いが入った。紙おむつ用の高吸水性樹脂で知られる三洋化成<4471>はクレディスイスが新規に好レーティングをつけ61円高で昨年来高値更新。値上がり率10位。ユニ・チャーム<8113>は120円高と大きく上昇した。

 この日の主役は業種別騰落率1位の海運セクター。商船三井<9104>が寄付前から買われて13円高と上昇し、日本郵船<9101>は3円高。海運大手は今月、自動車運搬船の運賃カルテル問題で低迷していた分を取り返した。(編集担当:寺尾淳)