【今週の振り返り】先物主導のアップダウンで177円下落した週

2014年01月18日 20:12

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前週末終値比で日経平均は1.11%下落したが、TOPIXは0.08%の微減にとどまる。

 10日発表のアメリカの12月の雇用統計は、失業率が6.7%に改善しながら非農業部門雇用者数が市場予測の4割以下の7.4万人というネガティブサプライズ。景気実態を懸念する見方もあれば大寒波の影響を挙げる見方もあり直後の為替は乱高下したが、長期金利が低下してドル安円高が1円を超えて進行した。NYダウも「7.4万人」の解釈をめぐり迷走し7ドル安だったがNASDAQは上昇した。週明け13日のNYダウは179ドルの大幅安。「7.4万人ショック」が尾を引いた上に今週の金融大手の決算が良くないという業績観測に、「現状のS&P500は高すぎる」というゴールドマンサックスのレポートも出てズルズル下げ続けた。サントリーHDが買収を発表したビーム社の株価は24.6%上昇。三連休明け14日朝方の為替レートは、ドル円が一時102円台をつけて103円台前半、ユーロ円が141円近辺で、10日夕方に比べてドル円もユーロ円も2円近い円高になった。

 アメリカの株安と円高で日経平均は大幅下落が予想されCME清算値は15495円。外資系証券売買動向は売り越し。254.86円安の15657.20円で始まり、値がさ株に値がつくにつれてたちまち15600円を割り込み、午前9時6分には15500円も割って15475円で下げ止まった。その後すぐに15500円台を回復し、為替がドル円103円台前半で安定したこともあり15500円台前半で「水平飛行」が続く。上海、香港市場が安く始まっても影響されず、為替と連動して底堅く小刻みに値を上げて15600円に迫り、前引けは15585円だった。

 後場は前引けと同水準でスタートするが、午後1時台にじりじりと値を下げ15500円を下回り、1時45分を過ぎから急落。CME下値の15430円だけでなく一時15400円も割り込んだ。細川護熙元首相が東京都知事選への立候補を明らかにし、「脱原発」で一致する小泉純一郎元首相が細川氏と会談して「積極的に支援する」と話したことがマーケットで悪材料視され、先物主導で売られ為替も円高に振れた。ほぼ同時刻に舛添要一元厚生労働大臣も正式に出馬表明したが、2人の元首相のタッグの前にはかすんでしまった。日経平均は15400円前後のもみあいが続き2時44分には15383円の安値をつけ、終値は489.66円安の15422.40円と大幅反落。日中値幅は278円もあった。TOPIXは-29.40の1269.08。売買高は30億株、売買代金は2兆8619億円と年明けから商いだけは好調が続く。

 業種別騰落率は全業種マイナスで、下落幅が小さいのは空運、卸売、石油・石炭、サービス、水産・農林、食料品などディフェンシブ系。大きいのは証券、その他金融、保険、電気・ガス、その他製品、海運などだった。

 14日のNYダウは115ドル高で5日ぶり反発。12月の小売売上高は前月比0.2%増で市場予測を上回り、ウェルズ・ファーゴが過去最高益、JPモルガン・チェースは減益でも市場予測は上回るなど金融大手の決算は堅調。個人消費や決算への懸念が遠のき金融株に買いが入った。そうやって雇用統計の「7.4万人ショック」は癒されていく。15日朝方の為替レートは、ドル円は104円台前半、ユーロ円は142円台半ばで円安方向に戻った。

 日経平均は226.67円高の15649.07円で大幅反発スタート。それでも15700円にあと一歩届かず伸び悩んだ。午前10時10分頃に15700円を突破するが長続きしない。その後はじわじわ安くなり11時台には元のサヤに収まって、日経平均の上値は重い。前引けは15695.56円だった。後場、15700円台に乗せて始まってもすぐ押し戻されるが、1時に上昇が始まって10日の安値15754円を上回り前日に空けたマド埋め完了。午後2時台は15800円に迫っても抜けなかったが、最後に386.33円高の15808.73円で高値引け。日中値幅は172円だった。TOPIXも+25.44の1294.52で高値引け。売買高は26億株で5営業日ぶりの30億株割れ。しかし売買代金は2兆4265億円で、2兆円超えは12月18日から続き、そろそろ1ヵ月になる。

 全業種がプラスで、上位は保険、倉庫、不動産、陸運、機械、石油・石炭など。下位は情報・通信、空運、精密機器、その他製造、海運、鉄鋼などだった。

 15日のNYダウは108ドル高と続伸。この日も経済指標と企業決算が株価を下支え。NY連銀製造業景況指数は市場予測より3.3倍も大きいポジティブサプライズ。12月の卸売物価指数(PPI)も市場予測を上回り、バンク・オブ・アメリカは10~12月期決算の純利益が前年同期比4倍強の増加で株価は2.3%上昇、世界銀行が今年の世界経済の成長率を上方修正し、ベージュブック(地区連銀経済報告)にも景気拡大の報告がゾロゾロ揃えば株価指数は上昇する。ドルは買い戻され、16日朝方の為替レートはドル円は104円台後半、ユーロ円は142円台前半だった。