16日のNYダウは64ドル安。新規失業保険申請件数は市場予測より良く、12月の消費者物価指数(CPI)は市場予想と同じだったが、シティグループの決算の1株当たり利益が市場予測を下回る悪さで、ゴールドマンサックスも純利益が減少し揃って下落。家電販売店ベストバイの年末商戦実績も売上高が前年比2.6%減と不調で、値引き競争激化で営業利益も低下する見通しで株価は29%も急落した。フィラデルフィア連銀製造業景気指数は上振れしNAHB住宅市場指数は堅調。17日朝方の為替レートは、ドル円は104円台前半、ユーロ円は142円近辺で前日夕方よりも円高に振れていた。
国内株式型の投資信託の新規設定に伴う買いが入る話があり、星取が○●○●○●なので順番なら「上がる日」だが、「利益確定売りの金曜日」は、先週は日本、今週はアメリカが三連休前。日経平均は51.74円安の15695.46円で始まり、9時台はマイナス圏のおおむね15650~15700円の範囲で乱高下。その間もTOPIXはプラスの時間帯が長く、今週の特徴「日経平均の迷走、TOPIXの堅調」を反映する形になった。午前10時30分を過ぎには変動レンジが15620~15670円に下がり、10時56分に15621円の安値をつけた後は変動が小さくなり、前引けは15639.19円だった。TOPIXもマイナスに定着した。
後場は下げ幅を圧縮して再開し日経平均は15700円台に乗せ、TOPIXは前日比プラス圏に戻る。2分後には日経平均も一気にプラスにタッチ。だが長続きせずその後は15700円台の小幅マイナス圏で水平飛行を続ける。TOPIXは後場は常にプラス。流れが変わったのは午後1時40分頃で、日経平均が先物の買い戻しでプラス圏に浮上し、今度は長続き。しかし2時30分前からはマイナスになったりプラスになったりしはじめ、どっちに転んでもおかしくなかったが結局12.74円安の15734.46円で終えた。日中値幅は162円。1月7、8日以来の続落で、1勝3敗、前週末終値比177.60円の下落で今週の取引を終えた。TOPIXは+3.00の1297.39とプラスで「NTねじれ現象」が出現し、NT倍率は12.12倍まで圧縮した。前週末終値比で日経平均は1.11%下落したが、TOPIXは0.08%の微減にとどまっている。売買高は27億株で30億株を割り込んだが、売買代金は2兆3274億円で17営業日連続で2兆円を超えている。
東証1部の値上がり銘柄は1281で、値下がり銘柄404の3倍以上もあった。33業種騰落率も20対13でプラス優勢。プラス上位業種は倉庫、不動産、卸売、非鉄金属、海運、サービスなど。マイナス下位業種は保険、パルプ・紙、その他製品、金属製品、電気・ガス、ゴムなどだった。
日経平均採用225種は値上がり114銘柄、値下がり103銘柄。プラス寄与度1位は電通<4324>で+4円、2位は日揮<1963>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-7円、2位はファナック<6954>で-6円だった。
メガバンクは揃って上昇。自動車セクターで朝から快走したのが「出遅れ組」の三菱自動車<7211>で、117円高と続伸し10.06%上昇で値上がり率7位、売買高11位、売買代金4位と買われた。一方、トヨタ<7203>は前週のボックス圏にも戻せないまま61円安。ホンダ<7267>は42円安。ダイハツ<7262>は今年の国内販売が前年比1割減の見通しを発表し38円安。消費増税後の反動減が大きいとみている。自動車ランプの小糸製作所<7276>は価格カルテル問題でアメリカ司法省と司法取引に合意し5660万ドル(59億円)の罰金支払いが確定したが、「これにて一件落着」感で36円高と株価上昇。罰金は第3四半期に特別損失に計上する。
16円安のパナソニック<6752>はシンガポール、マレーシア、インドネシアの半導体3工場を年内にもシンガポールのUTAC社に売却する。ソニー<6758>は24円安だが東芝<6502>は9円高で3日続伸。シャープ<6753>も7円高で3日続伸し売買高1位。チャイナモバイルのiPhoneの出足次第では来週も買われそうだ。電子部品のTDK<6762>は10~12月期の営業利益が3倍の150億円という業績観測が出たが、市場予測に照らすとそれでも物足りないようで85円安と売られた。ゴールドマンサックスがレーティングを引き上げたフジクラ<5803>は47円高で昨年来高値を更新し値上がり率10位。年明けから藤倉ゴム工業<5121>や藤倉化成<4620>など子会社が派手に売買されたが、いよいよ親も出てきた。
インフラ輸出の日揮、機械の不二越<6474>のような今週の主役になった銘柄が再登場して上昇。日揮は94円高で昨年来高値更新。不二越も59円高で昨年来高値を更新し値上がり率12位に入った。経済産業省が三菱重工<7011>と日立<6501>の火力発電事業統合に産業強化法を初めて適用すると報じられ、三菱重工は6円高、日立は5円高。しかし新日鐵住金<5401>は正午頃に名古屋製鉄所のコークス炉で火災発生のニュースで後場急落し5円安。幸いけが人はなかった。
NTTドコモ<9437>は「第3のスマホOS」と呼ばれる「タイゼン」を搭載したスマホ端末の販売開始を見送るというニュースが流れ1円高。技術的に優れていても、中国製のスマホがゾロゾロ出てきて低価格化、コモディティ化に向かう今年はタイミングが悪い。KDDI<9433>は14円高、ソフトバンク<9984>はゴールドマンサックスが投資判断を引き上げたが2円安。この日のモバイルキャリア3銘柄は日経平均と同様にプラスとマイナスの間を行ったり来たりした。
新規設定のファンド買いの対象になり不動産大手や含み資産株の倉庫が買われ、それぞれ業種別で2位と1位になった。住友不動産<8830>は69円高、三井不動産<8801>は31円高、東急不動産HD<3289>は今期の投資額を1000億円上積みして25円高。ケネディクス<4321>は29円高で売買高9位に入った。倉庫株では36円高の三菱倉庫<9301>が大きく上昇していた。
東京電力<9501>は売られ8円安。エナリス<6079>は乱高下したが104円高で終了。415円安の任天堂<7974>は大引け後に通期見通しの下方修正を発表した。年末商戦でゲーム機が売れず最終赤字に転落。全国百貨店売上高が発表され、昨年は16年ぶりのプラスで1.2%増だった。三越伊勢丹<3099>17円高、高島屋<8233>17円高など、百貨店の株価は軒並み上昇していた。
この日の主役は「インテル関連銘柄」。インテルが10~12月期の決算を発表し、1株当たり純利益が0.51ドルで市場予測の0.52ドルをわずかに下回り、8四半期ぶりの増収増益ながら期待に応えきれない微妙な数字。インテル株は時間外取引で約5%下落したが、インテル関連銘柄は東京エレクトロン<8035>こそ139円安と影響大でもアドバンテスト<6857>は15円高、イビデン<4062>は33円安、新光電気工業<6967>は24円高、イノテック<9880>は1円高とまちまち。4月9日のマイクロソフトの「ウインドウズXP」のサポート打ち切りによるパソコン買い替え需要はまだ寄与していない模様だが、打ち切り直前の1~3月期は世界第3位のパソコン市場の日本では消費増税前の駆け込み需要期と重なるので、「影響は限定的」と結論を出すのはまだ早いだろう。(編集担当:寺尾淳)