今、再び「起業」が注目を集めている。00年前後にITバブルの恩恵を受けた、いわゆる「76(ナナロク)世代」、mixiの笠原健治氏やGREEの田中良和氏などに続く「81世代」の活躍も目立ってきた。ハウツーコンテンツを扱うサイトnanapiの古川健介氏や、pixivの片桐孝憲氏がその代表例。彼らは現在32~33歳と若く、スマホ関連の対応も早い。
若い世代を中心に、起業への関心は高いようだ。働く女性が読むファッション誌『Anecan』で「起業のしかた」と題した特集が組まれる(14年1月号)など、会社員以外の道を探る若者は珍しくない。
日本政策金融公庫が昨年、全国の18~69歳の男女を対象に実施した大規模な調査では、経営経験が全くない人のうち21%が起業に関心をもつ「起業予備軍」であることが分かった。性別でみると、女性が4割。年代別では若い人ほど起業への関心が高く、10~20代の3割が「起業に関心がある」と答えた。
こうした「起業予備軍」が起業しない理由として多いのが、「自己資金の不足」「ビジネスのアイデアが思いつかない」「失敗のリスクが大きい」の3つ。資金不足については、約半数の人が理由に挙げている。
実際に起業した人はどうなのか。調査では08年以降に事業を起こし、現在も経営している人を「起業家」と定義。男女比は7対3で、男性が多い。現在の年齢は30代が最多の34%、次いで20代が16%と、若い世代が半数を占めた。
多くの「起業予備軍」にとって足かせとなっている資金面については、開業資金が「100万円未満」が5割強。従業員数は「自分のみ」が66%、営業場所は「自宅」が65%と、比較的小さく始めるケースが多いようだ。月商は「50万円未満」が最多の6割で、副収入がある人も7割にのぼる。数年前からは会社勤めしながらの週末起業もブームだ。起こした事業を続けるのが重要なのは言うまでもないが、チャレンジ精神さえあれば、起業は案外、難しくないのかもしれない。(編集担当:北条かや)