JR大阪駅ビルの百貨店「JR大阪三越伊勢丹」(大阪市北区)を共同運営するJR西日本<9021>と三越伊勢丹ホールディングス<3099>は21日、不振の続く「JR大阪三越伊勢丹」の売り場面積を今の約4割に縮小し、JR西日本グループが手掛ける隣接する専門店街「ルクア」と一体運営するといった、再建策を発表。そうして売り場面積を縮小し、代わり若年層に人気のある専門店などを入れる模様。また店舗名も変更されるようで、「三越」と「伊勢丹」の2つのブランド名を持った唯一の店舗が無くなってしまう可能性も出てきた。
2014年の夏に改装工事が開始され、2015年の春には改装オープンされる予定だ。16年3月期の売上高は、ルクアと合わせて約800億円を目指すとしている。JR西日本の子会社であり、「JR大阪三越伊勢丹」に隣接する専門店街「ルクア」を運営する「JR西日本SC開発」が現在の「JR三越伊勢丹」の入っている建物を借り受けた上で、百貨店や専門店をテナントとして入れる予定だ。こうして売上の好調な「ルクア」と一体運営を行うことで、集客に繋げたい考えがあるようだ。
「JR大阪三越伊勢丹」が縮小、また撤退を行う分野は呉服、美術、リビング関連とのこと。高い収益性が見込まれる衣料品や雑貨部門は残す方針のようだ。また「ルクア」にも販売促進の協力を求めるようだ。
「JR大阪三越伊勢丹」の入る大阪駅ビルの周りには、「阪急百貨店梅田本店」の改装や、去年の4月に大型複合施設「グランフロント大阪」が開業したりと、熾烈な競争が巻き起こっている。そうした競争の中で、それぞれの商業施設の明暗が鮮明になってきた。
同日、大阪市内で記者会見を行ったJR西日本の矢吹静副社長は、「ルクアと一体運営を行うことで、幅広い層のお客様に買い物の場が提供できる」とコメント。また三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦取締役も、「専門店と一緒になった百貨店の新しい出店形態となるはず。大阪の店舗は、その試金石となる」とコメントした。(編集担当:滝川幸平)