日本百貨店協会が発表した13年の百貨店売上高は6兆2171億円で、前年比1.2%と増加した。年間売上高の総額が前年実績を上回るのは16年ぶり。富裕層を中心に高額消費が旺盛だったこと、また東南アジア・中国からの観光客が増加したことなどから、全体的に好調だった。
百貨店売上高のカウント方法は、「店舗数調整前(全店ベースの総売上高)」と「店舗数調整後(既存店ベースの売上高)」の2つがある。ピーク時の99年には全国に311店舗あった百貨店は、10年には261店舗まで落ち込んだ。店舗数の減少などを受け、ピーク時の91年には9兆円あった全店総売上高は、今や3分の2まで落ち込んでいる。こうした店舗の増減を考慮し、近年では全店の総売上高ではなく「既存店ベースの売上高」に注目する向きもあった。
一昨年の12年には、店舗数調整後の「既存店ベース売上高」が16年ぶりに前年比プラスとなり、話題を集めた。しかし店舗数調整前の年間総売上高はマイナス0.1%と、わずかに前年実績をクリアできなかった。
13年は「全店総売上高」「既存店ベースの売上高」がともに前年比プラスとなり、業界にとっては明るい兆しが見えてきたようだ。特に12月はクリスマス商戦を中心に好調だったようだ。株高や冬のボーナス増額、消費増税前の駆け込み需要などが相まって、高級ブランドバッグなど「身のまわり品」が5.2%のプラス。高級時計など、「美術・宝飾・貴金属」は15.7%のプラスと、全体を牽引した。
13年の年間を通してみると、大都市の好調が地方の不振を補っている構図に変化はない。都市部では店舗数調整前で前年比2.7%のプラス、調整後では3%のプラスと、改装・増床効果が如実に現れた。一方、地方では閉店が相次ぎ、店舗数調整前でマイナス1.7%、調整後でもマイナス1%と、相変わらず不振である。ショッピングセンターやネット通販等との競争が激化している地方百貨店は、長年の不振から抜け出せていない。(編集担当:北条かや)