2014年 百貨店のターニングポイント 増税前の特需をいかに取り込むか

2014年01月01日 16:43

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」に伴う株高で富裕層の消費心理が改善をはじめ、大手企業のボーナス支給額のアップなどもあり、消費者の購買意欲がヒートアップしている。

 2013年は明るい話題が多かった百貨店業界だが、2014年4月が百貨店の正念場となるだろう。つまり、5%から8%の消費増税後が百貨店の明暗を分けることなる。

 そこで、前回の橋本政権時の消費増税後の百貨店市場を振り返ってみたい。増税前の1996年の百貨店全体の売上げは1.8%増だった。1997年の増税直後は1.9%減、1998年は5.0%減となり、その後、デフレ経済へと突入し、15年連続で売上高は減少し長い低迷が続いた。このデータを見ると前回の消費増税では、増税前に購入して、増税後は買い控えする。つまり、プラスマイナスゼロという結果になっている。

 政府は増税後の景気の冷え込みを気にかけ、5兆円の経済対策を行う予定だ。百貨店各社は増税前の駆け込み消費をいかに取り込むかを考えているようだ。引き上げ前の駆け込み需要の恩恵を大きく受けるのは高額商品を取り揃える百貨店が最も大きいからだ。各社は、前回の増税の経験を生かして上手に購買へと結びつけたいところだろう。

 2014年は、消費増税だけでなく他業態との競争も熾烈になりそうだ。日本ショッピングセンター(SC)協会の資料によれば、2012年に全国でオープンしたSCは35カ所。 2013年は64カ所だった。店舗面積1万平方メートルのSCを展開するイオングループの出展が目立ったが、そのイオン系のSCなどが本格始動することになる。

 2014年の百貨店市場は、全国で顧客の奪い合いがますます激しくなること必至。百貨店はSCとの差別化を明確にし、百貨店ならではの特長を全面に出す展開が望ましいと思っている。(編集担当:久保友宏)