【今週の展望】「節分底」から「彼岸天井」に向けて出直し

2014年02月02日 20:31

 海外の経済指標で最も重要なのは日本時間で7日夜に発表されるアメリカの雇用統計だろう。前回はネガティブサプライズだったが大寒波の影響が続いた今回はどうか。3日は中国の1月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、アメリカの1月のISM製造業景況感指数、12月の建設支出、1月の新車販売台数、4日はアメリカの12月の製造業受注、5日はフランス、ドイツ、ユーロ圏の1月のサービス業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ユーロ圏の12月の小売売上高、アメリカの1月のADP雇用レポート、ISM非製造業景況感指数、6日はドイツの12月の製造業受注、アメリカの12月の貿易収支、7日はインドの1~3月期国内総生産(GDP)予想、ドイツ、フランス、英国の12月の貿易収支、ドイツ、英国の12月の鉱工業生産、アメリカの1月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、12月の消費者信用残高が、それぞれ発表される。

 2日は政情不安が続くタイで総選挙が実施される。4日はオーストラリア準備銀行の理事会が開かれる。5~6日はイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ6日に政策金利を発表する。6日には欧州中央銀行(ECB)の理事会が開かれドラギECB総裁が記者会見を行う。7日はアメリカ連邦政府の債務上限引上げの延長期限になる。

 アメリカ主要企業の決算は、3日はヤム・ブランズ、4日はADM、5日はメルク、ラルフローレン、ウォルト・ディズニー、エスティローダー、6日はGM、ケロッグが発表する予定になっている。

 2月1日からプロ野球のキャンプが始まったが、前週の東京株式市場はまるでプロ野球の万年Bクラス球団のようだった。チーム全体の週間成績は負けが込んで1勝4敗でも、個々の選手ならぬ個別株は、任天堂<7974>のようにスタンドの罵声を浴びた有力銘柄もいたが、ゲーム関連銘柄の大当たりホームランあり、背番号ならぬ証券コード末尾が「01」「02」のベテラン銘柄の復活あり、IPOしたばかりの期待の新人の好プレーあり、彗星のように現れた新テーマありで、けっこう見どころがあった。トルコという助っ人も活躍。弱小球団のファンが「いい選手が揃ったから、いつか花咲く時が来る」と健気に信じているように、投資家は「いい個別株が揃っているから、強い相場が戻ってくる」と信じても、その願いはかなうだろうか。

 年末の破竹の9連勝から一変し、1月はズルズル負けてばかりの弱小チームと化した日経平均も、毎日の取引時間終盤には粘りを見せている。前週も、ザラ場中に15000円を大きく割り込んだ日でも終値ベースでは27~30日は15000円前後まで戻して終えている。14914円で終えた31日も、午後2時5分につけた14764円から55分間で150円も値を戻した。あっさりボロ負けしない「粘りのチーム」なのはやはり個別株がしっかりしているからで、それが今週、期待できる要素だ。

 月末と週末が重なった31日の特殊性を考慮すると、FOMCを通過してアメリカの雇用統計の発表は7日の取引終了後になり、アメリカ主要企業の決算発表は峠を越し、国内の経済指標の発表は少なく、国内主要企業の決算発表は「過去最高益」の言葉が踊って全体的に好調キープが予想されるような環境のもとでは、今週の日経平均終値の下値は底堅く15000円近辺と考えても差し支えないのではないだろうか。怖いのは新興国発のリスクオフだが、それは前々週末から続く要素なので相当程度、織り込まれているとみていいはず。某国の国債のデフォルトのようなよほどのネガティブサプライズでも起きなければ、「日経平均14500円割れ」のような事態はないと思われる。今週あるとすればECB(欧州中央銀行)の追加金融緩和決定のような、金融危機とは逆方向のイベントだろう。