シャープ<6753>が2014年度第3四半期(2013年4月1日~12月1日)を発表した。今期は4KやIGZOなど新技術による液晶が好調で、売上高は前年同期比21%増の2兆1572億円、営業利益は同1662億3200万円の赤字から2477億円増加し814億円の黒字へ、また、純利益も同4243億4700万円の赤字から4420億円増加し177億円の黒字に転換した。
液晶は前年同期比30.6%増の6223億円で、大幅な業績アップを牽引した。3840×2160というフルHDの4倍の精細度4K対応の液晶テレビ「AQUOS」やフルHDパネルで4Kに相当する高精細で高画質の液晶ディスプレイ「クアトロンプロ」、シャープが実用化した主に中小型液晶用の高画質技術IGZOを使った液晶ディスプレイを搭載したスマートフォンなど、液晶および液晶関連製品は概ね好調に推移した。
また、太陽電池も好調で、国内向けの住宅用やメガソーラーが伸長し、売上高は同85.5%増の2768億円となった。その他、デジタル情報家電が同2.1%増の5515億円、エアコンなどの健康・環境が同5.3%増の2419億円、カラー複合機などのビジネスソリューションも同13.0%増の2355億円、スマートフォン向けカメラモジュールやセンサー、LEDなどの電子デバイスも同28.5%増の2290億円と、ほとんどの部門が増収となった。
さらに、これに伴い、14年度通期の業績予想も上方修正した。売上高は昨年5月の予想2兆7000億円から2000億円増加の2兆9000億円とした。営業利益は200億円増加の1000億円としている。
1973年に世界初の液晶を使った電卓を開発して以来、世界の液晶産業をリードしきてきたシャープ。ここ数年は業績不振が続き、赤字を計上し続けていた。液晶では、特にSamsung ElectronicsやLG Electronicsの韓国勢にその地位を奪われてしまっている。しかし、ここに来て状況に変化が現れた。今や大型の映像機器から中小型の携帯機器まで、液晶をはじめとするフラットパネルなくては成り立たない世の中だ。かつて液晶は半導体と並び日本のお家芸とも言える産業だった。そのトップだったシャープの復権を願いたい。(編集担当:慶尾六郎)。