【日経平均】前日後場の興奮をクールダウンして76円安

2014年02月19日 20:25

 前日にブリヂストンが12月期本決算を発表。日米で新車生産に比例してタイヤの販売が好調で営業利益は53.2%増の4381億円と従来予想を上回った。今期の営業利益見通しは5%増の4600億円で、年間配当も前期より23円多い80円と予想。同じく12月期本決算を発表したトレンドマイクロ<4704>もスマホ用のセキュリティサービスが好調で営業利益は31.4%増の294億円と従来予想を上回った。今期の営業利益見通しは2.2%増の301億円。しかしブリヂストンは利益見通しが市場予測の平均を下回ったという〃罪状〃を問われ値下がり率10位の164円安、売買代金8位の売り浴びせの〃刑〃を受けた。3期連続最高益更新でもアナリストの裁きに情状酌量の余地なし。トレンドマイクロは値動きなしで2月中の主要企業の決算発表は終了した。3月期決算企業の本決算発表は4月下旬から5月下旬頃がピークになる。

 35円高で3日続伸し値上がり率3位に入った図書印刷<7913>は「リクルートHDの上場承認近し?」が買い材料。約90万株を保有するという。不動産証券化のケネディクス<4321>は売買高4位、売買代金9位と商いは多いが19円安と反落し値下がり率3位。サンフロンティア不動産<8934>も66円安の値下がり率4位と連れ安。航空電子<6807>は岡三証券がレーティングを引き下げ74円安で値下がり率8位と売られた。

 主力銘柄が安いこんな日はテーマ銘柄やゲーム・コンテンツ関連に買いが入る。「3Dプリンター関連」は、一時ストップ高で79円高のアルテック<9072>が値上がり率1位、売買高9位。販売代理店になっているアメリカのストラタシス社が新機種を日本で発売という材料で買われた。値上がり率13位には21円高の群栄化学工業<4229>が入った。「セルロースナノファイバー関連」は、第一工業製薬<4461>が22円高で値上がり率6位、星光PMC<4963>が48円高で同12位。バイオ関連ではカイオム<4583>がストップ高の700円高だった。

 132円高のグリー<3632>は売買高14位、売買代金7位、値上がり率2位と商いを伴って上昇。「モンスターハンター」シリーズの新作がこの日から配信開始で、前景気をあおって買い戻しが入った。任天堂<7974>も後場上昇して145円高。コロプラ<3668>は「魔法使いと黒猫のウィズ」が前日に2000万ダウンロード突破という話題があり148円高。しかし「軍勢RPG蒼の三国志」のほうは300万ダウンロード突破止まり。こちらには「苦肉の計」が必要か。

 この日の主役はキヤノン。前日に1800万株、500億円上限の自社株買いを発表して61円高と買われ売買代金5位。昨年9月にも今回と同規模の自社株買いを行っており、発表後のピークをつけた9月17日の高値は9月3日の発表直前の終値から7.6%上昇した。今回も同じ上昇率なら234円高になるが、この日はまだ約4分の1止まり。キヤノンは2011年の東日本大震災直後、株式市場の混乱が続いた時期に自社株買いを5月、8月と続けざまに実施している。株価が下がれば株主に自社株買いで御慈悲を賜る「観音菩薩」のようなやさしさが、NISA口座で買われる銘柄の上位に入る人気につながっている。(編集担当:寺尾淳)