今年はボーナスアップが見込めるか TDBが賃金動向に関する企業の意識を調査

2014年02月22日 13:40

 帝国データバンク(TDB)は2014年2月17日、「2014 年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の調査結果を発表した。それによると、14年度は賃金改善を見込む企業は46.4%と過去最高で、賞与で改善を考える企業が増加しているとした。

 この調査は、TDB景気動向調査2014年1月調査とともに行った。調査期間は2014年1月21日~31日、調査対象は全国2万2834社で、有効回答企業数は1万700社(回答率46.9%)。なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で9回目だ。

 2014年度の企業の賃金動向についての回答は、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある(見込みを含む)」と回答した企業は、1万700社中4970社、構成比46.4%。前回調査における2013年度見込み(39.3%)を7.1ポイント上回った。2006年1月の調査開始以降で最高の見通しとなった。

 また、「ない(見込み含む)」と回答した企業は29.0%と前回調査(32.3%)を3.3ポイント下回った。「ある(見込み含む)」を業界別にみると、「建設」(49.2%)、「卸売」(48.5%)、「製造」(47.2%)が高かった。特に、「建設」は「ここ数年、役員、管理職、一般社員など全般において給与改善できる余力は少なかった。2014年度は景気改善期待とともに、若手社員の確保も意図し、全社員を対象に少しでもアップしたい」(建設、東京都)など、前回調査を11.4ポイント上回った。地域別では、「近畿」(49.0%)、「四国」(48.8%)、「北海道」(48.6%)など、全地域が4割を超えた。特に、「北海道」「中国」「北陸」「四国」では前年より10ポイント以上増加している。

 正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が34.0%となり、「賞与(一時金)」は同27.8%となった。前回調査と比べると、それぞれ2.0ポイント、6.8ポイントの上昇となっており、特に賞与(一時金)で賃金改善を実施する企業の増加が目立った。中小企業は、ベースアップ、賞与(一時金)ともに前回調査を上回ったうえ、大企業より割合は高く、リーマン・ショック前の2008年度見込みでは「ベースアップ」が41.5%、「賞与(一時金)」が23.1%であったが、2013年度、2014年度見込みと2年連続で上昇している。

 賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業4970社に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「労働力の定着・確保」の57.2%(複数回答、以下同)で、さらに「自社の業績拡大」(50.2%社)が続きともに5割を超え、4月に実施される「消費税率引上げ」は23.8%と4社に1社が挙げた。また、物価が徐々に上昇しつつある現状を受けて「物価動向」(22.5%、499社)は前回調査(12.1%)から0.4ポイント増加したほか、「同業他社の賃金動向」(18.7%)は5.5ポイント増加した。

 TDBでは、賃金改善の動向は今後のアベノミクスの行方を大きく左右する要素として注目されているとしている。リーマン・ショック以降、賃金改善を見込む企業の割合は大幅に縮小していたからだ。政府は消費税率引上げに対する経済対策とデフレ脱却に向けた政策を進めている。この中で、雇用確保とともにベースアップや賞与(一時金)の引上げなど、さらに、経済団体では業績が回復してきた企業においてベースアップを含めた賃上げを容認する方針を示している。

 また、労働組合側から今春闘でベアを要求する動きも出ている。賃上げによって購買力を高めることで景気の好循環を生み出し、消費税率引上げ後の反動減に対応する役割を果たすことが期待されるとした。なお、この調査における詳細データは、景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。(編集担当:慶尾六郎)