「はたちの献血」キャンペーンが必要なほど「若者の献血離れ」が進んだ理由 

2014年02月23日 11:50

 寒いこの時期に献血者数が減少するのを受け、日本赤十字社は今年も「はたちの献血」キャンペーンを展開している。今年のキャンペーンキャラクターは昨年に引き続き、女優の武井咲(20)。記者発表会で彼女は「若い人たちが献血に行く『きっかけ』に私がなれるように、責任をもって同世代の人たちに献血の大切さを伝えていきたいです」と熱い思いを語った。キャンペーンソングを歌うのは、若者に人気のAAA(トリプル・エー)だ。

 大々的なキャンペーンが展開される背景には、若者の深刻な「献血離れ」がある。厚労省や日本赤十字社のデータをみると、この20年足らずの間で10代の献血者数は3分の1に、20代は半分まで減少。40代以上の献血者数は右肩上がりで増えているので、若者だけが献血への関心を失ってしまったようにも見える。

 なぜ若者は献血しなくなったのか。少子化でそもそもの数が減っているのはもちろんだが、高校側の変化も関係している。日本赤十字社によると、02年に完全週休2日制になって以降、平日の授業スケジュールが過密になり献血に時間を割いてもらえないケースが増えたという。行政も最近では、高校生の献血に対して以前ほど積極的ではない。

 最近では、気分不良や吐き気といった献血の副作用が養護教諭や保護者に周知され、「成長期の生徒から採血するのは望ましくない」との意見も目立つ。学校側も生徒に何かあった場合の責任問題に慎重になっており、受け入れを拒まれる場合もあるようだ。少し前までよく見かけた「献血バス」を最近、見なくなったという人も多いだろう。赤十字社のアンケートでは、若者が今まで献血しなかった理由の1位は「きっかけがなかったから」。高校生のうちから献血に触れる機会が減ったのも、若者の関心低下を招いた要因かもしれない。

 11年からは、男性に限って400ml献血が可能な年齢の下限が18歳から17歳に引き下げられた。それでも、急速に進む高齢化を前にして「血液不足」は深刻だ。献血で採血された血液製剤が最も多く使われているのは、ガンや白血病の治療。こうした病にかかりやすい高齢者は今後もどんどん増えていく。根本的な方策は見つかっていない。(編集担当:北条かや)